出版社内容情報
スイスの著作家ウィース(1782‐1830)のこの物語は,あの有名な「ロビンソン・クルーソー」から生まれた.同じ無人島への難破をストーリーとしながら,暗さがない.何もない環境から父母と4人の兄弟が心をあわせて小さい社会をのびのびと築いてゆく過程が,われわれに無限の温さを感じさせる.
内容説明
両親と四人の子どもたちが力をあわせ、無人島の中に小さな社会をのびのびと築いてゆく。彼らの明るさが読者の心を温くする。(全二冊)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
285
まるでパラダイスのような地で暮す彼らだが、下巻に入ると次々に危険が迫る。まずは大亀、続いて大蛇、ダチョウに熊、さらにはセイウチだ。カバやライオンだって黙ってはいない。これを読んでいて思うのだが、彼らは狩猟民族の末裔だからか、あるいは18世紀の人であったからなのか、野生動物に対して容赦がない。狩ったり、手なずけたりといった対象としか見ていないのだ。また、本書の大きな特徴として彼らの間に葛藤がないことが挙げられる。しいて言えば、最後にこの地に残って新スイスを建設するか、ヨーロッパに戻るかといったことくらいだ。2016/11/12
NAO
64
この話も、『ロビンソン・クルーソー』と同じくモデルがいるということらしいのだが、そのわりには、あまりにもリアルさに欠けている。リアルであることよりも、面白さの方ばかりを重視したのだろう。この作品の歴史的意義は、ジュール・ヴェルヌに多大な影響を与えたということだろうか。2018/11/17
Э0!P!
1
男性としてまず紹介するフリッツ2025/01/25
takeakisky
1
我が子にしてやった話が出版され、というのはよくあるものだ。せがまれるままにした話がこんなにも長く親しまれるというのは微笑ましい。それも、子によって出版されるなんて。オランウータンが出てきたそばからライオンが出てきたり、動植物の登場は無茶苦茶で大分頭が疲れたけれど、子供の喜ぶ要素を詰め込むと、こうなるのでしょう。あとがきまで読み、フランス人のモントリュウ夫人がはたしてどんな結末をつけたものか、そればかり気になる妙な読後感。少し現実味が恋しくなった。2023/03/15
shiro
1
十年経って、新しい仲間を迎え入れると共に訪れる助け。そして家族それぞれの選択も見どころ。長男が父親から一人前だと認められるシーンもこみあげてくるものがある。小さな少年だった末弟が立派な青年になっていたことにも感動。旧字体で読み辛いかなと思ったけど慣れれば気にならない。楽しい物語だった。2016/07/05