岩波文庫<br> 幽霊

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岩波文庫
幽霊

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  • サイズ 文庫判/ページ数 163p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003275047
  • NDC分類 949.62
  • Cコード C0198

出版社内容情報

愛のない結婚を否定しつつも,因襲的な観念に縛られて放縦な夫のもとに留まり,家名を守るため偽善に終始してきたアルヴィング夫人.夫の偽りの名誉を讃える記念式典を前に,可愛い一人息子のオスヴァルも帰ってくるが,因襲の幽霊がふたたび夫人の前にあらわれる.ギリシャ悲劇に比せられるべきイプセンの傑作.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケディーボーイ

39
人形の家は痛快だったが、こちらは恐い。 事勿れ主義によって放置されてきた因習がまさに幽霊のように纏わりついてくる。そしてそれが破滅に繋がっていく。 日本もそうならないといいけど。2022/04/13

Y2K☮

39
古書店で発見。「人形の家」以上に辛辣な因習&義務批判。父を尊敬しろ、子は親を大事にしろ、妻は夫に尽くせ云々。いま読むと「この牧師アホや」で終わるが、書かれた当時はイプセンへの非難が凄かったらしい。無論「そんなの義務じゃない」と考えていた人は昔もいたと思う。でも誹謗中傷の的になるのがオチだから言えなかったはず。彼らの声無き声を代弁し、悪しき旧弊から社会を解放せんとした「芸術家の鑑」的一冊。もしイプセンがいま日本に生きていたらコロナのインフォデミックを批判し、天皇制における男系固執主義を鋭く攻撃した気がする。2021/01/24

藤月はな(灯れ松明の火)

34
色狂いの夫に苦労させられながらも過去を捨てることができず、世間体や周囲の見方に従って持ちなおそうとした妻。しかし、息子が帰郷してから取り繕ってきたものが全て瓦解することになる・・・。本質を見ずにいた牧師や世間体にしがみ付く夫人の言葉は偽善者だからこその薄っぺらさがあるからこそ、病んでいても息子は拒絶した。息子が希望として使っていた「太陽」がラストでは絶望を告げる言葉となったのが悲惨すぎます。最後に夫人が行おうとして衝撃を受けたことは発狂した息子をまた、世間体を取り繕うために殺すことだったのだろうか?2013/11/02

松本直哉

30
人は無垢で生まれてくるのではなく、生まれた時にすでに罪に染まっている。根拠のない因習や道徳的観念が幽霊のように取り憑いている。この劇は遺伝病という生々しい現実でそれを突きつける。振り払おうとしてもできない病は、男性の死後も子どもにつきまとう。ノルウェーの暗鬱な雨のように。幕切れのオスヴァルの「太陽!太陽!」という叫びは何とかして幽霊を振り払おうとするもがきのように聞こえる。人は自分が思うほどには自由ではない。意識するとしないにかかわらず幽霊の支配のままになっている。生きる歓びを求めて家を出るレギーネさえも2018/04/06

YO)))

15
過去に葬り去ったはずの父親の「幽霊」を母親が息子に見る場面がなかなか劇的。 人間の因業因果のしつこさ・根深さが、幽霊のようなものをすら産み出してしまうということの哀しさ・恐ろしさ。2023/12/10

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