出版社内容情報
『自伝』をひもといてアンデルセンの波瀾に富む生涯をたどるとき,例えばあの「みにくいアヒルの子」を想い浮かべぬであろうか.事実,彼自身もこういっている.「私が書いたものはほとんどが私自身の映像である」と.また,『自伝』は「私のすべての作品の最上の注釈となる」だろうと.『童話集』を愛するすべての人の必読書.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たつや
47
素晴らしい童話作家アンデルセンの自伝。アンデルセン曰く、彼の作品全ての註釈となるだろうとのことですが、「私の生涯は波瀾に富んだ幸福な一生であった」から始まる。ありがちな貧乏暮らしから成功を掴む自伝ではなく、教訓や詩も多く挿入されている。「人間はお話しにならないほど醜い」この一行で、アンデルセンは実に人間をよみ見ていたのがわかる。数回に分けて書かれたアンデルセンの自伝は少し読みずらいけれども、読むと、作品が奥行を持ち、立体的になるような気がする。2017/06/24
絹恵
41
「憧れ」「美」「涙」、彼の紡ぎ出した童話の断片が散りばめられていました。困難な道にほど、誰よりも自身を信じてくれる人、認めてくれる人が必ずいるのだと信じています。そして最後まで自分で自分のことを信じて、純心を大切にしていれば、世界は彼の愛に応えて輝きに満ちて見え、忘れられない縁を結んでくれたのだと思います。紡がれた童話の美しさや淋しさは彼の心が滲んだものでした。2015/04/13
記憶喪失した男
9
苦難の人生だなあ。アンデルセンはうまくいかないことが多く、生きる難しさを感じるなあ。2020/08/06
paumi
5
きっとアンデルセンは、感受性が強くて、純粋な心の持ち主で、それ故に涙もろく、信心深かったのだろう。若い頃のアンデルセンは、色んな人のツテを頼り生活してきた。それでも上手くいかないことばかりで、作品を発表しても誹謗中傷を投げつけられていた。しかし、彼の“ひとかどのものになる”という強い目標のもと高い行動力を発揮し、しまいには本当に高い名声と評価を手に入れることができた。彼の心が絶望しなかった理由に、自分の運命は神が握っている、神が私をよい方向に必ず導いてくれるだろうという信頼があったからだと私は確信する。2020/09/10
氷柱
4
1018作目。11月12日から。「こんな人たちとお近づきなんだぜ」的な自分上げ乙な作品。それはそれとして他の出典を見る限りだと結構な嘘つき体質だったようで、もしかするとこの作品自体が作者の見栄で構成されているのかもしれない。いずれにしても作者の人脈なり世界の広さを伺い知ることのできる一作である。体験こそが作品を生むのである。2023/11/16