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岩波文庫
七人の使者・神を見た犬 他十三篇

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  • サイズ 文庫判/ページ数 304p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003271926
  • NDC分類 973
  • Cコード C0197

内容説明

不条理な世界の罠にからめとられた人間の不安と苦悩、人生という時の流れの残酷さ、死や破滅への憧憬などを、象徴的・寓意的な手法で描いた十五の短篇。ディーノ・ブッツァーティ(一九〇六‐七二)によるイタリア幻想文学の精華。ストレーガ賞受賞作『六十物語』から精選。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

sin

97
自ら選んで歩んで来たつもりでも、人は否応なしに時間に、社会に流されてゆく…しかし、それでもなおここに納められた短編それぞれの登場人物には、清みきった諦感すら窺えるのは彼等が善くも悪しくも前へ進もうとする気概を持つからだろうか?どのような道を辿ろうとも終着点は変わらない。しかし、だからこそ自らの辿る道は自分で選ぶべきなのだろう。そして、嗚呼!偶然、作中に見いだした急行列車を見送る母の姿に、後悔の念を抱く現在の自分の胸を締め付けられる思いがする。2018/02/15

コットン

87
ケイさんのおすすめ本。15の短編作品で成り立ち、不条理で追い詰められていくような話が多い中、引退同然の山賊の首領と山賊の仲間に入りたい若者との会話が面白い「大護送襲撃隊」と、人間に潜む二律背反な思考で揺れ動く心が表現される「神を見た犬」が良かった。2014/05/15

J D

79
 再読です。表題作「神を見た犬」を久しぶりに読みたくなり、手に取りました。単なる野良犬を人々の思い込み、犬の行動の解釈で神格化していくさまは何度読んでも飽きが来ない。言葉を持たない犬が、無信仰で不道徳な人々を改心させていく。この短編は、ページ数以上に奥が深い。また、気が向いたら読もう!「七階」も好きな作品です。プッツァティやっぱりイイ!2023/12/19

らぱん

73
もの凄く好みだ。この面白さをどう書いたらいいのか。 総じて平易な文章で複雑な構成はなく、夾雑物が排除された不条理や理不尽が端的に語られる。出来事自体はちょっと妙なことから全く有り得ないことまで様々だがほぼ心地は悪い。そのアイディアに面白味もあるのだが、見事なのはそこに巻き込まれる人間の描き方で見知らぬ場所の馴染みのない名前の人物がとても近しいものに感じられ、設定された場所や時代を超える普遍性があるように思う。不安や恐怖や焦燥を共有共感しているうちに、あらゆる意味は意味を無くし起承転結がどうでもよくなる。↓2020/09/24

えりか

63
一人暗く長いトンネルを進んでいるようだ。外で何かが起こっていたとしてもわからない。このまま進んでいいのか、引き返そうか、でもいつか光指す出口が見えてくるのではないか、と。終わりの見えない未来、でも時は止まることなく過ぎる、その無情さや人の孤独、そして思いもよらずに死への道に巻き込まれてしまう不条理感が絶えず襲ってくる。人生は虚しいし、一歩先は不安だらけだ。でも不穏な中にも幻想的な美しさがあって、つい魅せられてしまう。特に病状が悪化するほど、死へ近づくほど、下の階へ移される「七階」の不条理さは恐ろしかった。2016/12/17

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