出版社内容情報
善良だが無知、と同時代知識人に下された批判。アリストテレスを<神>とし哲学=自然哲学とみなす敵陣への論駁と、人間主義・反権威主義・雄弁やプラトン復権など基本構想を述べた、ルネサンス人文主義(ユマニズム)最初の宣言書。晩年の主著。
内容説明
善良だが無知と同時代知識人の批判を喰った著者は?アリストテレスを神とみて哲学=自然哲学とする一派への論駁と、人間主義と反権威主義、文献収集と古典語研究、雄弁やプラトンをめぐる基本構想を具体的に述べたルネサンス人文主義の宣言書。晩年の主著。
目次
1 序―新しい厄介な戦いを強いられて
2 四人の若い知識人によるペトラルカ評とその動機
3 ペトラルカの自省と心境
4 古代作家をめぐって
5 古代作家とキリスト教信仰
6 終章―ポオ河の流れにて
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ロビン
21
当時権威主義化していたアリストテレス哲学を信奉する4人の学者によって「善良だが無知」であると宣告されたペトラルカが、義憤にかられた友人の度重なる勧めによって筆を執った反駁の書で、プラトン哲学を擁護すると共にペトラルカの掲げたキリスト教的ユマニスムの宣言書にもなっている。どんな該博な知識も人間の幸福に寄与しなければー人間の本性はいかなるものか、なんのために生まれたのか、どこから来てどこへいくのか、を知ることに与らなければー何の役にも立たないと言い切る人間主義は健康的であり、生きた学問の重要性を再認識させる。2021/01/23
魚京童!
14
私をバカにするやつは許さないぞ!って気持ちが前面にでてて清々しい。「わたしは無学だが善良な人間。」私は賢いぞ。みんなそう言ってる。でもお前たちは私をバカにする。そんなこと許さないぞ!でもいいもん。無学だもん。でも善良だから。善良こそすべてだから。だってセネカも言ってるし。とかなんかすげー幼稚園児。なんかすげー幼稚園児。そういってる私はなんだろうって思うけど、この人すごい。やっぱり60歳で一周して赤ちゃんに戻ったからかな。なんかすげー知ってる知識だけでこんなに風に、私をバカにするやつは許さないぞ!2018/03/16
うえ
8
攻撃的なアリストテレス主義論駁。プラトンが全訳されアリストテレスが拒否されていく十四世紀「あらゆる問題では、だれよりもアリストテレスを避けるべきです。かれがたくさんの誤りを犯しているからというわけではなく、たいへんな権威とおびただしい追随者をもっているからです」「神的なことについては、プラトンやプラトン主義者のほうが、より高く昇っています」「カトリックの信仰は、いかなる知的才能もいかなる力もこれを攻略できない」解説「かれもまた「真の信仰」を絶対視することによって権威主義のとりこになっていたのだろうか」2015/10/01
ラウリスタ~
7
ソクラテスの無知の知や、ショーペンハウアーの「読書について」とならぶほどの内容の本。アリストテレス妄信者の批判とユマニスト宣言らしい。無知であってもよい、善良だと言われれば!ということ。知識を増やすことで高慢になってしまうことを深く反省させられます。どれだけ学んでも無知の領域の方がはるかに大きいことは変わらない。キケロがまるでキリスト教徒のような言説をいっていて面白い。もう一度キケロを読もう。プラトンもそろそろ。アリストテレスは、、、いらないかな。2010/11/10
feodor
7
ペトラルカはルネサンス初期の巨人というか、先駆的存在の一人というか、難しい位置づけな気もする人物だと思う。実際、スコラ学がまだまだ盛んでもあり、アヴィニョンに教皇庁はあるし、という時期に生きていた人なのだなあと思うと中世最後の時期の人とも思えるし。本書は、ヴェネツィアの友人4人による誹謗がきっかけとなっているところで、なんともおもしろいなあと思う。シチリア王ロベルトにより認められ、桂冠詩人の名誉を得たペトラルカに対して「学識がない」という悪口を言うグイド・ダ・バニョーロたち友人への気持ちというものが、執筆2010/03/29