出版社内容情報
本書は1348年ペスト流行の折,女7人男3人合計10人の1行がフィレンツェ郊外に病魔を避け,つれづれをなぐさめるべく語り合う物語を集録した体裁で,僧侶生活の裏面や恋愛の実相を描き,大胆な人間解放の躍動が感ぜられる.イギリスの「カンタベリー物語」やフランスの「エプタメロン」などに大きな影響を与えたボッカチオ(1313‐1375)の代表作.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
42
強く願ったものを手に入れるというテーマの3日目は、修道女や修道士が規律を破って情事に耽るという、教会関係者の腐敗を暴露するような話が多い。そうかと思うと、厳格な修道士が知らずに不倫を楽しむ恋人たちの橋渡し役をさせられているという修道士をコケにしたような話もあり、ここにもまた、教会関係者を揶揄するボッカチオの姿勢が強く現れている。不幸な恋愛がテーマの4日目の話は、殉死を扱ったものが多い。が、けっこうグロテスクな話もあり、第五話はサロメやユーディットを思い起こさせるものだった。2016/01/17