出版社内容情報
地獄・浄火・天堂の三部からなる宗教的大叙事詩.錯誤と苦悩とを通じて魂の純化をもとめる人生行路を象徴している.本書は,ゴティク式大伽藍にも比較すべき均斉調和をもつ大文学であり,ヨーロッパ中世期を中心とした古今東西にわたる思想的背景に結びついた歴史書であり,また人類永遠の運命を探索する人生の書でもある.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
24
遂にベアトリーチェと再会できたダンテはウェルギリヌスと別れ、彼女を導きに天堂へと参る。天堂編は新約聖書的な生きることへの哲学的問答が繰り広げられる。その問答には読者に対する信仰への問いかけもあるのだろう。地獄から煉獄、天堂を経ることによって読者も俗から聖への旅路を示されたのかもしれません。2012/12/28
壱萬参仟縁
11
1472年初出。前半本文、後半註と解説に跋、研究書目と年譜。388頁の図式。地球は北半球の極にイエルサレムがあり、上に地獄。南半球に淨罪山。第一天は月、第二水星、第三金星、第四太陽、第五火星、第六木星、第七土星、第八恒星、第九原動、第十エムピレオ(天堂)。地球が太陽と入れ替えるとよいが、この15Cであればマシな推測だったのだろう。ヨハネの引用で、悪を行ふ者は罪の奴隷なり、自由なし(245頁註)。baccellierは今の大学院生のような感じか(338頁)。註の文字の小ささキツい。旧字体を新字体への改訂を。2013/10/26
金吾
8
神曲の中で一番難しい扁です。何度読んでもなかなかイメージがわかないため理解があまり出来ません。 ただ神曲全体としての階層として各界をとらえることは西洋の考えを理解するいい指標だと感じました。一気読みを初めてしましたが最後は集中が途切れましたので、じっくり読んだ方がいい本かなと思います。2020/07/24
madhatter
4
天国編は地獄・煉獄編とは違った趣がある。内容が形而上的な方向により傾いていっていると言うべきか。そういった内容を盛り沢山の比喩と暗示をもって語る上、何故そこにいるのかがダンテ自身にしかわからない(らしい)ような人物も登場するため、前巻までよりも註の必要性が増し、読み進めていくのに最も時間がかかった。ただひとつわかったのは、私は天国には入れないということだ(笑)。ペテロ・ヤコブ・ヨハネの口頭試問を突破できる自信が一ミリもない(笑)。2011/09/11
Harumi
3
本書、天国篇ではベアトリーチェを賛美してるなって思いました。とても激しく。ルネサンス文学を読んだのが今回が初めてでしたので中々当時考えられてた常識とは大いに違うので、大分迷いながら読む結果となりました。地獄が地下にあり南半球まで出てるらしいのですが、こう言うルートを人類が辿ることはできないので、理系の分野も気になり地球の中心を見てみたくなります。難しい本だったのでろくな解説ではないですがよろしくお願いいたします。2017/08/30
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