出版社内容情報
「文字通り貫かれたのだ。この恐るべき日射病に、甚だしい愛に、甚だしい幸福に!」――亡命ロシア人作家イワン・ブーニン(1870-1953)は人間を捕らえる愛の諸相を精緻な文体で描いた。見知らぬ女性との一夜の記憶が鮮やかさを増す「日射病」、初恋の歓喜が嫉妬の情に蝕まれていく「ミーチャの恋」など、珠玉の中短篇集。
【目次】
日射病
イーダ
最後の逢引
明けのいなづま
古い港
愛の文法
見知らぬ友
夜の海で
聖者たち
命の盃
きょうだい
ミーチャの恋
訳 注
訳者解説
内容説明
「文字通り貫かれたのだ。この恐るべき日射病に、甚だしい愛に、甚だしい幸福に!」―亡命ロシア人作家イワン・ブーニン(1870‐1953)は人間を捕らえる愛の諸相を精緻な文体で描いた。見知らぬ女性との一夜の記憶が鮮やかさを増す「日射病」、初恋の歓喜が嫉妬の情に蝕まれていく「ミーチャの恋」など、作家が自ら編んだ中短篇集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Pustota
5
初ブーニン。儚くつかみどころのない愛が、深く人の心を揺さぶる様を描いたような作品が多い。詩的な文章が印象深く、個人的には愛や恋をこれほど切実に感じる作品はそうないと思う。一方で空虚さや冷たさが覗く一面もあり、内面を掘り返されるようなそら恐ろしさも感じた。久しぶりにじっくりと味わうような読書をした気がする。解説も結構詳しく、ユニークな視点もあり面白かった。2025/07/26
nightowl
1
主題はあるのだけれど、余りにも自然描写が瑞々しくて霞んでしまう。名画を前にしてしばし見惚れる気分。詩的な部分を汲み取った訳文も非常に上手い。社会を切り取ったものでも実に優雅な表現。チェーホフ「桜の園」を思い浮かべると、そのように華やかで浪漫のある時代が去った諸行無常さが伝わる。亡命した故郷喪失者の悲しさが背景として滲み出た一冊。2025/08/06
海
0
ブーニンの小説は独特で、ネチネチした情景描写に圧倒されてしまい読みづらい。ミーチャの恋と夜の海でと聖者たちが好きだったかな。2025/07/22