出版社内容情報
第1次大戦から10月革命にいたる近代ロシア最大の激動期,南ロシアのドンのコサックたちは,どのようにみずからの道を切りひらいたか.主人公グリゴーリーの悲劇的運命をたどりながら,さまざまな階層の人間を生きいきと描きだしたこの小説は,スケールの雄大さ,ストーリーの面白さと相まって,「戦争と平和」と並ぶ傑作と称えられている.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キクチカ いいわけなんぞ、ござんせん
30
ゴーゴリ「検察官」は印刷工場の活字工員達が笑って笑って仕事にならなかった、という話を聞いた事があるが、この「静かなドン」も仕事にならない作品だったのではないだろうか。ドン川ほとりに住むコサックの村の話。会話にスラングが多い。「ぱちくり野郎」「ど畜生」「ひきつりめ!」と会話は半分以上が悪口雑言に満ち溢れている。そしてこの方言は日本のどこをお手本にしているのだろう?コサック式結婚式に浴びるように飲むウオッカ。読んでいるこちらまで頭が痛くなった。この愉快なコサック村にこっそり撒かれる革命のタネ。あと7巻。2019/07/25
駄目男
20
南ロシア、ドン地方のコサック農村の生活描写から始まる。コサック中農の生活を営んでいるメレホフ一家の次男グリゴーリーは、毎年、夏になると一定期間野営演習に出かけて行く決まりに従って、出かけていたステパン・アスターホフの女房、アクシーニャと密会不倫している。(一) 話は特別事件というものは起こらず、不倫、グリゴーリーの結婚、そしてアクシーニャとの駆け落ちと駆け落ちの生活だけで終わっているが、グリゴーリーの父の名がパンテレイ・プロコーフィエビッチというように、ロシア語名は実に読みにくい。ここ最近、アラブ語、2025/06/01
ソングライン
18
20世紀初頭のロシアのドン地方に住むコサックの農家のメレホフ家の次男グリゴーリー、父とともに農業を営み、もうすぐ兵役を待つ青年です。グリゴーリ―が隣人のステパン・アスターホフの妻アクシーニヤと密通するところから物語は始まります。メレホフ家の祖先の妻となったトルコ人を疫病の原因と殺しにやってくる近隣のコサック達、アクシーニヤは夫がある身ながら、グリゴーリ―はあたしのものさと言い放ち、グリゴーリ―は新妻にお前を愛していないと告げる、奔放で身勝手な登場人物たち、この先が楽しみです。2021/04/09
黒豆
7
第一次世界大戦前の南ロシア。ドン河流域の静かな自然描写とは対照的に、 血気盛んなコサック達の生活が描かれている。彼らは喧嘩っ早いし、気に入った女性がいればすぐちょっかいを出す。そのせいで隣近所との諍いが絶えない。 妻を捨てた夫、夫に捨てられた妻、その隣人の夫を捨てた妻と、妻に捨てられた夫は今後どうなっていくのか楽しみ。2014/06/13
バナナフィッシュ。
4
河出書房の全集を読んでいるが、とりあえずの区切り。人間がしっかりと動物やってるなあ。喧嘩をして刃物で背中を切りつけても、浮気相手を散々になぶっても、強姦しようが法では裁かれず、村でうわさになるだけ。八分されることもあるんだろうけど、単純と言うか、気持ちのいい(?)世界だ。2024/07/28