出版社内容情報
本書はトルストイの遺著のうちでもっとも高い価値をもつといわれるもので,古今東西の聖賢哲人の思想を完全に自己のものとしつつ,人生いかに生くべきかを説いている.社会改良の手段を,単に個人の努力にのみ帰そうとする著者の態度をあきたらなく思う者も,平和と勤労を愛して生きた彼の英知に満ちた言葉には得るところが多いであろう.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
lily
87
人生の旅路を急ぐ時こそ、何もしないこと。いいね、いいね。落ち着いた精神が最もパフォーマンスも上げてくれるだろうから。健康的な生活を継続して瞑想でもしていればいい。それでいて、柔和な、やさしい、謙譲な人間であったのなら。水のように。善なる生活、死の準備の為に。2021/05/08
Nemorální lid
4
『善行の報酬は善行の努力そのものの中にある』(p.71)『他人の目によってのみ自分の欠点を見る事が出来る』(p.159)など、徹底したキリスト教観から臨む節制と純潔の地平によって構築された当著であるが、引用元が中国の諺から諸子百家、仏教からイスラム教、または古代ギリシアやローマの賢人からデカルト・パスカル、近現代のショーペンハウアーからドストエフスキーに至るまで、多種多様の文献に富んでいる。これは紛れも無くトルストイがありとあらゆる本に通じていた事の証左であろう。そこに共通するのは、彼が信じた愛にあろう。2018/08/23
壱萬参仟縁
0
トルストイの本で、古本屋で上下一緒に500円で買った。随所にラスキンも引用されているので、かなり勉強になる本。人生に迷い、苦しんでいる人には、ぜひ、お奨めしたい本だと思う。2012/04/15