出版社内容情報
貴族社会の安逸と虚偽の中に生きるネフリュードフ公爵.ある日,陪審員として出頭した法廷で目撃したのは,十年前の復活祭の夜情熱のおもむくままに誘惑し捨て去った娘カチューシャ,今は殺人窃盗の罪で裁かれる娼婦マースロワの姿だった…….晩年のトルストイが芸術家・求道者としてのすべてを投入した大作. (解説 中村 融)
内容説明
カチューシャの無実は明白であったが、陪審員たちの手続き上のミスから徒刑4年の判決がくだる。結婚によって「誤ち」をつぐなおうと決意していたネフリュードフは、そそくさと身辺の整理をすませ、移送囚カチューシャのあとを追ってシベリアの流刑地へむかう。―トルストイ最後のこの大作は、1篇の恋愛小説というにはあまりにも偉大である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
16
「少数者の安全と、便宜と、満足のために、数百万という人々の受けている苦痛をつとめておかしくしている社会―その社会の人々は、こうした苦痛を見もしなければ見ることもできないために、しぜん自分の生活の残忍性をも罪悪性をも、見もしなければ見ることもできないでいる」(云々64頁)。苦痛と残忍。こうしたものを直視する勇気を求める著者の暗示。セリフの一節に、「実証経済学」(318頁)という指摘があり、現代の実験経済学とは違うだろうが、著者の先見の明かもしれない。2013/10/25
アリョーシャ
3
ネフリュードフは、朝、目覚める度に少しずつ善へと近づいていく。娼婦にまで堕ちたカチューシャの復活劇かと思っていたが、精神的に堕落していたネフリュードフの復活劇だったのだと納得した。とはいえ、上巻からつまずかずにすいすいと歩みを進めていくネフリュードフには、どうにも共感できなかった。2018/08/11
...
0
ネフリュードフは、トルストイ71歳だった。恋よりも高尚な信念を持って生きていた。わたしは、あなたが幸せになることが一番なのだ、と言った。なんて説教臭いのだろう。影で嫉妬に狂うのではないか、そんな物語がやってくるのではないかと、勝手に切なくなりながらページを捲っていた。しかし、そんなことはなかった。彼はカチューシャを他人に渡し、彼のものなどではないけども、そして自分はすべきことを見つけ、希望に満ち溢れていた。2015/12/03
Hiroshi Nishina
0
トルストイの人生哲学の粋が詰まった物語だと思う2013/08/06
ささ
0
名前がなかなか覚えられず苦労した。登場人物紹介があれば助かったのだけれど…。ラストではカチューシャとの結婚の件が案外あっさり流されてしまったので驚いた。物語としての感動はあまりなかったが、学ぶべきことはたくさんあった。2012/03/02
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