岩波文庫
幼年時代

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  • サイズ 文庫判/ページ数 208p
  • 商品コード 9784003261781
  • NDC分類 983
  • Cコード C0197

出版社内容情報

「しあわせな,しあわせな二度とかえらぬ幼年時代! どうしてその思い出を愛し,いつくしまずにいられよう」.文豪トルストイの生涯の出発点にはどのような苗床が用意されていたのだろうか.自伝小説『幼年時代』は,とりわけ心理描写と人物の性格づけにすぐれている.豊富な天分が遺憾なく発揮された巨匠の処女作.

内容説明

「しあわせな、しあわせな二度と帰らぬ幼年時代!どうしてその思い出を愛し、いつくしまずにいられよう」。文豪トルストイ(1928‐1910)の生涯の出発点にはどのような苗床が用意されていたのだろうか。自伝小説『幼年時代』は、とりわけ心理描写と人物の性格づけにすぐれている。豊富な天分が遺憾なく発揮された巨匠の処女作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

lily

79
幼年時代から容姿にコンプレックスを抱き、美を欲したほど心は成熟し、ママの死は感受性を高めたのね。私も虱に悩まされた時は、このままだったら人生お先真っ暗な気がしてたっけ。でも今の人格形成に影響を与える程のビッグイベントはなかったかな。幼稚園のカリキュラムに退屈して人生への諦観は芽生えたかも。2021/05/08

syaori

33
トルストイの処女作。ある朝主人公が目覚めるところから始まり、彼の生活を追いながら家庭教師や召使、父、母、兄弟、祖母などの彼を取り巻く人々を描写することによって愛情に包まれた幸福な幼年時代が浮き上がってきて、その幸福な風景を見ていると、自分の多感で無邪気で罪のない時代が蘇ってくるような気持ちになります。時代も国も違うし、そんな時代は全く覚えていないとも思うのですが、郷愁を込めてこう述懐する主人公にとても共感してしまうのです。あの「清らかさと、無心と、愛の欲求と、信仰の力はいつの日かよみがえるのだろうか?」2016/11/04

マリリン

28
久しぶりのトルストイ作品。表題の通り幼年時代の視点で書かれている。13ナターリア・サーヴィシナ以降は特に惹きこまれた。幼年時代の汚点や、母親の死に向き合う微妙な心の揺れと感情、28最後の悲しい思い出は、祖父の代から女中として仕えてきたナターリアが、穏やかな口調で最後まで自分に与えられた仕事や、死について諭すように優しく冷静に語っている。ナターリアの存在は、幼年時代から少年時代へと成長していく中で多大な影響があったのではと思った。氏の処女作である本書は完全な自伝ではない。 2018/08/21

テツ

25
トルストイによる幼少期の自伝。自分も幼い頃の世界は光と祈りに満ちていたということをぼんやりと思い返せる。丁寧に描かれる幼い目線で見つめる世界と優しくゆったりとした神への思い。もう決して戻ることの出来ない清らかな時間がセピア色をして脳裏に浮かぶ。人間は自我を発達させると共に感受性を衰えさせ、ゆっくりゆっくりと幼い自分を殺して大人になっていく。2017/08/24

かるん

15
誰もが経験したであろう子供時代の感受性の強さが描かれている。心が揺さぶられることは無くても、じんわりと染み渡った。2015/09/06

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