岩波文庫
ムツイリ/悪魔

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  • サイズ 文庫判/ページ数 185p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003260722
  • NDC分類 981
  • Cコード C0198

出版社内容情報

「ムツイリ」「悪魔」はレールモントフ(1814‐1841)の代表的な叙事詩.帝政ロシアの現実の象徴的な再現,そして批判として高い意義をもっているこれらの詩は,ツァーリの専制政治に抗して若き情熱で高らかに歌いあげられた.厳格な韻律をふんだ定型詩であり,そのシンフォニックポエムにもたとうべき美しさは,われわれの胸を打つ.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

SIGERU

9
チェーホフ⇒ドストエーフスキイ⇒ゴーゴリ⇒トルストイ⇒ツルゲーネフ⇒プーシキンの読書順で、ロシア文学によって世界文学の広大な沃野に導かれた私だが、レールモントフだけは手つかずの「処女地」だった。奴隷の少年が逃亡し、放浪中に不思議な幻覚体験をする「ムツイリ」。堕天使ケルビムが人間の姫との宿命的な恋に落ち、ついに彼女を滅ぼしてしまう運命詩劇「悪魔」。37歳で決闘死したプーシキンの後を追うように、さらに若い26歳で決闘により斃れた夭折の詩人レールモントフの天才に触れることができ、いま感慨ひとしおだ。2017/10/28

Nemorální lid

4
レールモントフの著述は『「輝しき孤独」「悪魔主義」「幻滅の感情」のなかにあらわれる』(序 p.5)が、こうした彼の主観は全て、当時のロシアを包み込んでいたツァーリズムに対して目を逸らさずに現実をみつめた故のものであった。偽りや強制と妥協せずに只管に自由を求めて死すことは、または恋によって己の世界を変革したが故に滅ぶことは、当時のロシア社会が物質第一の冷酷的な支配社会だったことへの対抗である。保守的な専制がどう映ったかは当著以上に詳しいものはないだろう。そういう意味で彼は自由への十字架に処せられたのである。2018/08/08

てれまこし

3
世界から疎外された人格は、絶望、狂気、死への憧れのなかに悶える苦行僧や、神から見放された者としての悪魔を自らの形象とする。でも、レールモントフの苦行僧や悪魔はちと変である。両親の胸に抱かれたがったり、女の愛撫を求めたりする。神や世界に挑戦しつつ和解したがっている。この現実への執着がロマン主義から写実主義への道を開き、内面から外的世界への関心を導く。天への孤独な飛翔ではなく、地上を愛で満たそうと夢みるようになる。そうして、ロマン主義は宗教や芸術という分野から溢れだし政治化する。絶望や狂気や死ももちこみつつ。2019/03/01

壱萬参仟縁

3
19C露詩。ムツイリはグルジア語で勤行にあずからない修道僧の意(譯註157頁、解説163頁)。悪魔の方は裏切られ辱められたため悪の種を蒔く傲慢な魂(173頁)。「過去と未来の世代のひとびとのむれの つらい貧乏の物がたりも、労働と不幸の物がたりも、ひと知れぬわが苦しみのひとときの前では 一體なんだろう? 人間とは何だろう? なんだろう、彼らの生活とは、労働とは?」(123頁)。ルーチンワークが続く、単調な日常が続くときは、こうした疑問から頭から離れることはないだろう。自分の悪魔は他人に迷惑をなることもある。2013/03/08

HANA

3
ムツイリの旅に心打たれる一冊。後書きは文学を思想に隷属させているようで酷く不快に感じた。2010/03/01

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