内容説明
将来相続する領地を訪れたライスキーは祖母の熱烈な歓迎を受ける。素朴で愛らしい自然のみどり児マルフィンカ、謎めいた雰囲気をもつヴェーラ、旧友コズローフ、夢頼漢マルクなど、主だった人々が登場し、それぞれの人となりが丁寧に描かれていく(全五冊)。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
68
ライスキーが、自分の地所にやって来る。そこには、財産を長年にわたって管理してくれている祖母と、従姉妹がいる。この姉娘ヴェーラに惚れ込んだライスキーは、彼女にもっと新しい人間になりなさい、自由人になりなさいとけしかける。自分は、この地所、そこからの収益をしっかり管理してくれている祖母のおかげで気楽に暮らしているというのに財産などいらないというライスキーは、新しい自由人を気どっているにすぎないのではないだろうか。新しい思想に引かれ、庭に忍んで来る革命的思想家マルクに惹かれているいとこのヴェーラも気になる存在。2020/06/02
ラウリスタ~
6
これも一種の教養小説。主人公は芸術家として生きようとするが、しかし、その芸術はディレッタントなレベルにとどまる。自分をだまして文官や近衛兵になる同輩を軽蔑するが、しかしその自分が志す芸術もそれらと同じく幻影にすぎない。パスカルの「気晴らし」の思想に通ずる。この世の無意味さに嘆き、それにあくせくする凡人どもを軽蔑しながらも、自分は彼らが生み出す編み物一つも生み出すことができない。 で完全に人生に飽いてきたところで ある少女に出会う。 ところで、ロシアって仕事がなかったんかな?役所づとめ多すぎ。 2011/02/26
刳森伸一
1
様々な人物が登場人物が出てきて物語を牽引していく。主人公ライスキーの危うい雰囲気も拍車がかかり、これからの展開に期待が募る。2013/05/12
tieckP(ティークP)
1
舞台は農村へ。主人公の芸術家意識と、それをありふれたものとするマルクの指摘は面白い。人物描写が丁寧すぎて想像の余地がないけれど、そこは観察眼の鋭さとして肯定的に捉えたい。ルナールの農村スケッチに通ずる出来である。2011/07/21
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