出版社内容情報
フローベール,ドーデーとともにフランスの写実主義を代表する作家ゴンクール兄弟(1822‐1896,1830‐1870)の作.あるオールド・ミスに仕える善良で忠実な下婢ラセルトゥウが,性本能のために身を誤まって死に果てる,哀れな一生を描いた作品.この女主人公が転落してゆく悲惨なさまはゾラに大きな影響を与え,「獣人」「女優ナナ」のような傑作を生ましめた.
内容説明
醜い容姿をもつ女中が、入れあげた男に金づるとして利用され破滅する姿を、「愛欲の臨床講義」として無慈悲に描く。自然主義の先駆的小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
9
1865年初出。旧字体。マドモアゼルは、上向きにして半ば開いた手を、歪んで強張った、痛風の為に指の関節と節とに浮腫の来ている、老女の哀れな手を、置いてゐた(145頁)。老女も痛風になるのだな。高級社会から下等社会へ落ちてくるもの。首都の希薄な空気と汚れた溝とが運んで来るもの(223頁)。解説によると、下層社会の女の必然的転落とその哀れな死による結末を描写(309頁)。ちょうど、首都東京の希薄な感じを地方は受けているようにも思える。おそらく首都高を補強工事したり、関連施設でゼネコンが儲かる人が東京村に集う。2013/09/08
無意味への献身
0
別訳にて。ジェルミニイの行状がマダムに全く知られなかったというのはちょっと考えにくいが、ぼろぼろになりながらもマダムに仕え続けたジェルミニイの克己心と、ひたすら愛を求めてついに燃え尽きたその生の軌跡は少なからず胸に迫るものがあった。ゴンクール兄弟は辛辣な印象があったが、この時代の下層社会をかなりの同情を持った細かな観察眼で描写している。モーパッサンのような手練れの手際はないが、十分読める作品。2025/03/26
keisuke
0
ゴンクウル兄弟の母親の代からの下婢(訳文の表現を引用)、ロオズがモデルとのこと。彼ら兄弟にとって説明し難きこの下婢の生涯を説明するためにこの小説は書かれたと感じた。
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