出版社内容情報
本書は訳名をつけるなら「豪勇任侠の郷士」とでもいおうか.時は17世紀の初頭,人情風俗ともいまだルイ大王の古典的合理主義に統制されない自由奔放な世界である.尾羽うち枯して,赤貧の館にくすぶっていた若き男爵が,旅役者の群れに身を投じて「キャピテン・フラカス」の芸名を得,一座の女役者と結ばれるまでの波瀾重畳のメロドラマ.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Fumoh
2
中巻からはいよいよ恋のライバル・ヴァロンブルーズとの戦いが目立って来る。下層階級の旅芸人たちが登場人物の一角を占めている以外は、ほとんど中世騎士道物語的なレトリックとモチーフである。イザベルは貴族(であり、かつ薄幸の姫)、シゴニャックも貴族(であり、騎士=ヒーロー的役割)……やはりこれは古典的なモチーフと、自由主義的なモチーフを結合させているが、やや古典的なものの方に寄っていると言っていい。表現も伝統的な形式に寄っており、まるで聖剣でも出てきそうな勢いである。2024/03/25
迦陵頻之急
2
ついこの間まで引き籠りだったネガティブ主人公が突然覚醒、無敵モードで不良青年貴族を撃破する。お舘で執事の爺さん相手に凄い剣術の経験値を積んでいたとの事である。さらに勢いに乗って舞台でも大人気を博する。一方、上巻から顔を見せていた盗賊の一味の童女が、ヒロインに味方して忍者みたいな超絶スキルで大活躍。エンタメ色は薄めかと油断していたら、マンガもラノベも顔色無からしめる大展開だ。舞台はパリに移り、さあ、執念深い敵役はどう動く。2024/01/16
syaori
2
恋敵ヴァロンブルーズ公爵との決闘を経て、思いを打ち明けあったシゴニャック男爵とイザベルでしたが、身分差があるためイザベルは結婚はできないと言います。そんななか一行はパリに付きます。始めて見るパリに目を奪われる男爵でしたが、イザベルを追ってパリに到着していたヴァロンブルーズの魔の手が二人に襲い掛かるのでした。つづく! 続きました。恋敵のヴァロンブルーズ公爵がいいです。美貌で性格が悪くて傍若無人。公爵様はこのくらいでいいのです。殺人などを請け負う剣豪のランブルーズも憎めない感じがしていい味を出していました。2015/10/27
はちくま
0
「彼」がラスボスってことでファイナルアンサー?いかにも質が悪そう。周囲を固める悪漢たちにちょっと愛嬌があって(やってることは可愛くないけど)ちょっと可愛い。芸人チームがまたみんな個性があっていい感じ。シゴニャックがジェラール・フィリップなら、イザベルは誰だろう。2015/02/17