出版社内容情報
フランスが生んだ偉大な小説家・評論家アナトール・フランスは,きらめくような逆説と諷刺に彩られた会話によって多くの人びとを魅了した.彼と深い交りをむすんだセギュールの筆になる出色の随聞記は,懐疑主義という名の〈にがい哲学〉の持ち主,この卓越した知性の巨匠の姿をくっきりと浮かびあがらせる.
感想・レビュー
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壱萬参仟縁
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1925年初出。「人間は宿命の奴隷であり、永遠に一つの運命をたどり一つの仕事を続けてゆくことを余儀なくさせられているが、その運命と仕事との始まりをも知らないということ、そしてその運命と仕事は、いずれにしても、苦しみと涙とを通してしか完成されない」(15頁)。自分では宿命や運命を変えることはできないという現実。アナトール・フランスはウィリアム・モリスの『無何有郷(ユートピア)だより』について、耽美主義者が共産主義的未来都市の理想郷を素描しているのでおもしろがらせ、関心事となっていた(103頁)。 2014/07/13