出版社内容情報
ミケランジェロとベートーヴェンは,ロランの眼に全く対極的な二つの宿命と映じたが,彼はそのいずれをも限りなく愛した.本書には,性格上の欠陥と天才力との相剋する,美しくも苦悩に満ちたミケランジェロの生涯に対する畏敬の念が深く刻まれている.引続く幾多の作品を貫くロランの倫理の芽生えを我々はここに見出す.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ehirano1
103
偉人について偉人が書くという、大変興味深い本書。偉人にはその偉業に匹敵する苦難があるというのは、古今東西共通であることを改めて認識しました。一方で、ミケランジェロの場合は、なんだか(現代)日本のワーカホリック社会人に刺さる/共感を呼ぶのではないかと思いました。2025/12/07
テツ
27
芸術には疎いけれどミケランジェロによるサン・ピエトロ大聖堂のピエタだけは大好きで死ぬまでに一度見たいと思っている。そんなわけでミケランジェロの生涯を。偏屈で孤独な変わった人間が物言わぬ物質を削り、それがそこにあることが約束されていたかのような神の姿を取り出す。芸術って人間の成す小さな奇跡だよな。生前から賛美され崇拝されていたこんな天才にも悩み苦しみがあり、その手で石の中から神を抉り出してもそれは消えなかったという現実。色々考えちゃうな。彼の魂が安らかでありますように。2017/10/08
会津の斎藤
20
輝かしい栄光や偉業に目はいきがちですが、 偉人にはそれ相応の苦悩があるんだ。と感じました。 88歳まで生きて、死ぬ直前まで制作していたとは。 凄い。2021/06/21
Satoshi
16
システィーナ礼拝堂の天井画は死ぬまでに見てみたい芸術作品の一つである。その作者であるミケランジェロの生涯をロマン・ロランが描いた名著。力強い作品から、妥協を知らぬ強い意思の持ち主だと勝手に想像していたが、権力者の思惑に右往左往させられ、孤独な生涯を生きた信仰心の強い人物であることがわかった。セルフネグレクト気味な私生活とワーカホリック気味な製作過程も興味深い内容だった。2021/02/24
Fumoh
10
ミケランジェロの伝記という側面も持ちながら、著者もあとがきで言っている通り、これはロマン・ロラン自身の芸術作品、また自画像のようなものでもあります。ミケランジェロが気難し屋でありながらも多数の偉大な傑作を制作したこと、日常生活がボロボロで仕事人間だったことは有名ですが、手稿や素描などを焼却してしまったことなどから、私生活についてはあんまりよく分かっていない人です。ただし代わる代わる「教皇」というクライアントが代わってしまい、また同時代の数多くの芸術家たちと不本意にも比べられ、傷つきやすくも情熱的な彼は、2025/07/01




