出版社内容情報
第一次世界大戦前後のヨーロッパ,そこに生き,苦悩し,新しい光を求めてすすんでゆく一人の女性アンネットの愛と自由を描くロマン・ロラン(一八六六―一九四四)の大河小説.異母妹シルヴィ,息子マルクとの関係を軸に,社会・政治・恋愛等の問題が語られ,現代の女性の生き方にも示唆を与える不朽の名作.『ジャン・クリストフ』の姉妹篇.
内容説明
家族とともに旅立ったマルクは、イタリアで暴漢に襲われた老人を救おうとして殺される。アンネットは息子と同じ道を進む決心をして悲しみの底から立ち上がる。…現代の女性の生き方にも大きな示唆を与えるロマン・ロラン(1866‐1944)不朽の名作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
km
11
アンネット、ママン!2018/07/06
しんすけ
4
本書を書き終えたときロランは何を考えていただろうか。アンネットたちの努力が実り近い将来人類平等の社会が実現する。いや、人間に欲望があるかぎりそれは不可能だが、人類平等を求める運動は途絶えることはないだろう。後者がロランの考えに近いのではないか。しかし、人類平等を求める運動は途絶えてはいないものの、片隅に追いやられてしまっている。これこそが、『魅せられたる魂』が読まれなくなった原因なのではないか。2016/09/01
アリョーシャ
1
苦しかった。最後の五巻にいたって、抽象的な描写が難解さを極めた。ロマン・ロランは、得意の音楽の描写を持ち出すのを抑制しているように見える。重要な場面で登場するものの、決して前面に押し出すことはなかった。比喩を多用した抽象的な描写は、映像的である。手塚治虫が音楽や感情を絵で表現したものを思い出した。心に残った言葉はない。ただ表現の洪水の余韻のみ。2017/10/14