出版社内容情報
下層の生活を否定して貴族専用の「遊興の館」を経営する母と暮らす18歳の乙女の,愛と結婚に対する心理を描く.放埒な紳士セルヴィニィは娘の最初の愛人となろうと近づくが,純真なイヴェットの拒絶に遭い,奔放な母親の現実に目を向けさせる…….人の世の動きのとれない根本義を暗示する作品.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キムチ
22
放埓な母親のひざ元で育ったイヴェット。愛欲にだたれたような日々を当たり前としている「紳士」セルヴィニはつまみ食いせんと目論見近づく。文字面で読むと滑稽なほどのイヴェットのおぼこさ・・ある意味当時の理想とも言える純真無垢がこれ又、ある意味皮肉っぽく描かれる。モーパッサンが人生の根本義を彼女の姿を通して語らしめる・・と云うが、何か小難しくって私には無理。ただただ、筆者が「女の一生」「脂肪の塊」で描いた「現実の底に沈む」酷なほどの自然を怜悧な目つきで見透かしていたのと同様の感触を感じてしまった。2014/12/07