出版社内容情報
引き続き展開されるソドム(男性同性愛)とゴモラ(女性同性愛)のテーマ。プルーストの生前に刊行されたのは本巻まで。(全14冊)
内容説明
自然主義を提唱した長篇作家として知られるゾラ(1840‐1902)は、短篇小説の名手でもあった。戦争の愚劣さを、田園風景のなかで展開する牧歌的な恋と対比させることによって浮き彫りにした表題作のほか、人生の諸相を、ときに悲しく、ときにユーモラスに、多様に描いた七篇を収録。ゾラのあたらしい魅力に出会える一冊。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ペグ
91
小鳥が囀る長閑な田園に突如現れた軍靴の音。村の人々ののんびりとした暮らしや、若い二人の未来を抹殺してしまう戦争の惨たらしさを描いた"水車小屋攻撃"!何十年も命を繋いできた水車は木っ端微塵に破壊されてしまいます。そして〜久しぶりの悪女はテレーズ・ド・マルサンです。うぶなジュリアンの心を無残にも弄びました。彼女はその後どんな人生を送るのでしょうか?再読でありながら今回の方が感慨深く読め、至福のひととき。ヒューマニズムに裏打ちされたストーリーテラーとしてのゾラが素晴らしかった!2019/12/19
ehirano1
78
標題作について。これが戦争なんだとつくづく再認識させられると同時に虚しさが全身を覆いつくします、はぁ・・・・・。2023/09/09
ペグ
72
ドレフュス事件に興味があり、そのドレフュスを弁護したゾラの作品を読んでみようと思いこの短編集を手に取る。書き手と登場人物たちの距離が遠いので生々しい感情は薄められて、その分サクサクと読めた。「ジャック・ダムール」「アンジュリーヌ」「水車小屋攻撃」が好き。2018/04/03
NAO
66
普仏戦争を痛烈に批判している「水車小屋攻撃」「小さな村」、生も死も自然と一体化した朴訥な農夫の生涯を描いた「ある農夫の死」の3編は、ゾラらしさにあふれた心に残る作品。「アンジュリーヌ」は亡命先のイギリスで書いたもので怪談風でありながらもラストは明るく終わっており、自然主義から脱却したゾラの心境が明るいものだったことがうかがわれる。一風変わったところでは、カサノヴァの回想録から着想を得たという「一夜の愛のために」も面白かった。2021/10/09
藤月はな(灯れ松明の火)
64
表題作は微笑ましい恋から戦闘に巻き込まれる悲劇に本当に涙が出て仕方ありません。特に最後で「大勝利!大勝利!」と叫ぶフランス兵に「大馬鹿野郎!」と殴りかかってから泣き喚きたいよ・・・(つд⊂)「周遊旅行」は姑の邪魔で情が交わせない若い夫婦が旅先(しかも近場)でやっと愛し合えるという話なんですが、瑞々しくも微笑んでしまうようなエロティックさにドキドキしてしまいます。「ジャック・ダムール」の諸行無常ぶりも凄い。そして「一夜の愛のために」は悪女もの。これを読んでゾラの代表作で悪女物の『ナナ』も読みたくなってきます2015/11/07
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- 和書
- さよならを告げた夜