岩波文庫
制作 〈下〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 371p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003254561
  • NDC分類 953
  • Cコード C0197

出版社内容情報

モーパッサンとともにフランス自然主義文学を代表する作家ゾラ(1840-1902)が,19世紀半ばの印象派による近代絵画革新運動の推移を描いた芸術小説(1884年刊).画家クロードの作品創造の苦闘と自殺にいたる悲劇を描きながら,彼の友人として登場する小説家に托して,ゾラの体験と思想・感情を色こく反映した自伝的小説でもある.(全2冊)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

nuit@積読消化中

77
セザンヌやマネなど、印象派画家と親交の深い著者ゾラがリアルに描く第二帝政時代のパリを舞台とする若い芸術家たちの群像、パリの風景と風俗、そして天才的な画家の創造の苦悩や狂気!あまりにもリアルすぎて、何度か(良い意味で)投げ出したくなりましたが、読み手側の自分も取り憑かれたかのように引きこまれて一気読みとなりました。2022/01/30

NAO

65
苦しみぬいて完成させたものの、できた途端にそれが陳腐に見えてしまう辛さ。サロンでの情け容赦のない酷評。仲間とはいえ、画家同士は互いに足を引っ張り合い、中にはこっそり相手の手法を盗み、より一般受けする絵に仕上げて成り上がっていく者もいる。そんな中、クロードが徐々に壊れていく過程がおそろしい。3巻の『パリの胃袋』では、貧しいながらも明るく社交的だったのに。ゾラはクロードの狂気をマッカール家の遺伝によるものとしているけれど、そういった先入観がない方がかえって話に凄味が出るんじゃないだろうか。2017/03/24

のっち♬

49
制作に決して満足できず、天賦の才を実現できないことに激昂して狂気を帯びる主人公と、妻、絵画による三角関係は一気に表面化。美術や文学への風刺や、著者の苦しい内的葛藤が更に色濃く織り込まれる。矛盾や対立を交え、明暗を巧みに対比させながら話はダイナミックに展開する。「絵は、狂してもなお不死の姿で屹立し、勝ち誇っていた」超自然的で幻想的な演出が施された悲劇的な結末が強烈な余韻を残す。「さあ、仕事に戻りましょう」心理と自然を規範に、愛と憐れみの幻影を求め、彼は働き続ける。勇気を奮い立たせ、公正な未来を信じながら。2019/01/25

兎乃

44
ルーゴン・マッカール叢書再読マラソン中、やっと14巻。もしも私が ゾラ未読という方に何かオススメするとすれば この"制作"だと思う。"居酒屋"や"ナナ"も素晴らしいけど 日本で誤解され矮小化された自然主義の客観性と構成力 そのゾラの真骨頂がここにある、と思います。主人公クロード、実際の親友であるセザンヌをモデルにしてゾラは書きますが それはあくまでモデルであり、アデライード因子を遺伝子の方舟に乗せた ルーゴン/マッカール家の狂気が 芸術と生活と恋愛の隙間に滑り込み、(→コメント欄へ2014/05/10

みつ

34
下巻の表紙は、ギュスターヴ・モローの、サロメと宙に浮くヨハネの首を描いた絵画『出現』。「外交派」を主導した画家クロードが主人公であったはずなのになぜ?という疑問は、読み進めるうちに明らかになる。絵の完成を目指しながらもいっこうに進捗しない状況の中、クロードは絵の中の女性に囚われ、妻クリスティーヌは(もとは自分がモデルを務めた)絵の中の女に嫉妬する。彼女の激情の発露からクロードとの恍惚に続き、さらには衝撃的な結末まで、異常なまでに濃密な記述の箇所ではワーグナーの『トリスタンとイゾルデ』が頭に鳴り響いていた。2025/05/11

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