岩波文庫<br> エトルリヤの壷 - 他五編 (改版)

岩波文庫
エトルリヤの壷 - 他五編 (改版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 123p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003253410
  • NDC分類 953
  • Cコード C0197

出版社内容情報

『マテオ・ファルコネ』は家名を汚した自分の小さい男児を殺すコルシカ人の恐ろしい物語.『タマンゴ』は奴隷船の奴隷が謀叛して船長と乗組員を殺したが,船の操縦がわからなくて漂流する話.ほかに『シャルル十一世の幻想』『堅塁抜く』『トレードの真珠』(一八二九年)『エトルリヤの壺』(一八三○年)を収録する.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Y2K☮

30
芥川龍之介が愛読した短編の名手メリメ。本職は役人らしい。文体は装飾を伴わないヘミングウェイ方式。だが渇いた中にも太陽の温もりを感じさせるヘミングウェイとは異なり、こちらは他人事として切り裂く冷淡な刃。死を頻繁に描くその筆はハードボイルドを超えて殆どプラスチック。「タマンゴ」では運命に弄ばれる主人公の苦闘がナレーションの様に淡々と綴られている。「マテオ・ファルコネ」はカフカの某作品を思わせるラストに戦慄。そして僅か3ページの掌編「トレドの真珠」をぜひ読んで欲しい。ここまで冷徹に突き放したラストは記憶に無い。2015/05/13

キクチカ いいわけなんぞ、ござんせん

26
コルシカ島の10歳の少年は、時計と引き換えに逃亡犯人を警察に引き渡す。それを聞いた少年の父親が下した罰とは。究極の掟、しつけ、明快で何の揺らぎもない世界に読んでて一気に眠気が覚めた。「タマンゴ」はフランスの黒人奴隷貿易の船で起こった出来事のてん末。奴隷貿易の非情さ、恐ろしさ、血も涙もない黒人への扱い。その後の恐ろしい結果は、正義でもなく悪への懲らしめでもなく、ただの運命。6編の短編で、どれも面白い。2019/07/05

501

18
6編の短編集。硬質な文章に随所に散らばる詩的な描写が心理を鮮やかに浮き彫りにする。息子の裏切りを知り厳しい制裁を下す"マテオ・ファルコネ"、奴隷商人が奴隷として連れて行かれる"タマンゴ"が良かった。2018/03/31

みっぴー

18
ハッピーエンドとは程遠い短篇集。既読でしたが、『マテオ・ファルコネ』『タマンゴ』はやはり衝撃を受けずにはいられません。『マテオ・ファルコネ』--自分の読み間違いか、ミスプリだろうと思いたくなるほどの結末。これはもはや〝仁〟とか〝義〟の世界。お父さん、後悔しないの?『タマンゴ』--奴隷商人が奴隷になってしまう、笑えない喜劇。途中いいとこまで行ったのに、バッドエンド…反乱は計画的に!2017/02/07

はやしま

15
宮本輝「本をつんだ小舟」での紹介で興味を持ち、読友さんの推薦もあって手に取る。生と死の紙一重のあっけなさ、人生の一瞬の暗転が切り取られるように、冷静に筆致で描かき出されている。「マテオ・ファルコネ」は前掲書で結末はわかっていたが、この父親の判断をどう理解したものだろう。まだ大人の甘言に惑わされる子供ではないか。それともこの地域・時代では子供でも許されない判断だったのか。「マテオ・ファルコネ」だけでなく他のどの作品も生の軽重について考えさせられる。絶版なようだが名作として世に問い続けて欲しい一冊。2017/07/17

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