出版社内容情報
夢をいだいて王政復古時代のパリに出てきたラスティニャックは,社交界に出入りし,立身出世をはかる.一方,2人の娘を上流階級に嫁がせたゴリオは,娘達に裏切られて貧窮のうちに死去し,ラスティニャック青年は,ゴリオの悲惨な死を通じてパリの残酷な現実を発見する.深い人間理解を示すバルザック(1799-1850)の代表作.(全2冊)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ベイス
62
ラストの迫力が素晴らしい!爺さんの死の間際の壮絶な独白。愛情と財産の全てを注ぎ込んだふたりの娘が、臨終のときにすら現れない現実を自覚したときの苦しさはいかばかりだっただろう。こうなることはわかっていた、それでも信じ続けた。他人の手を娘のものと信じ「ああ、わしの天使たち!」と叫んで命果てた爺さん。子への過度の依存、とか、重たすぎる親子関係、とか、現代的な視点で捉えることは無意味だろう。何を大切に生きるべきかを、強烈に訴えかけてくる。2021/05/31
キムチ
59
下巻は延々とゴリオの括弧つき的父性愛の舞台。現実の表のみで裏が見えないのか見ようとしないのか。上巻で語られる堕落したブルジョワジーの虚飾臭プンプン会話がここでも延々と。娘2人の夫を旧貴族VS銀行員と対比させているのも絡繰り。高山訳はかなり時代がかった日本語なのでその取り澄ました表情まで見えそうな狐の性格に笑う。ラスティニヤックが拝金路線まっしぐらの意欲に満ち満ちているだけにゴリオの末路すら「教育材料」としか映っていなかったろう・・これぞ人生!という苦渋を舐めたのは価値ある経験。再登場という手法が面白く、次2020/09/22
セウテス
57
〔再読〕自分には僅かなお金しか残らなかったが、上流階級に二人の娘を嫁がせたゴリオは幸せを確信していた。しかし何もかも娘達の為に使い、今最期を迎え様としているゴリオを看取ったのは、ラスティニャック達だけであった。自分たちの都合を優先し、父の臨終にも立ち会わない娘達を産み出したのは、社会そのものではないのか。自分の生活以上の期待をかける事は、美徳とは言えないのかも知れない。上流社会を目指さなければ、普通に幸せな家族だったのだろうか。人の成功が直ぐに目に入る現代だが、実際に成功して幸せな人は5%足らずだそうだ。2017/12/28
i-miya
43
2013.03.23(つづく)バルザック著、高山鉄男訳。 2013.03.22 ラスティニャックに処世の道を教えるボーラセン夫人。 「男にも女にも容赦ない打撃を与えなさい」「だます人間と騙される人間の集まりであるこの世」「騙す人間にも、騙される人間にもなってはいけません」。 ラスティニャックの見聞きするものはすべて教育的な価値があるといえる。 ニュシンゲーヌ夫人。ニュシンゲーヌ夫人の晩餐会に出かけて恋人となるラスティニャック。 2013/03/23
i-miya
39
2013.06.19(つづく)バルザック著、高山鉄男訳。 2013.06.17 (ヴォケェ夫人について) 「不幸せな目に会った」女の全てに似ている。 ジョルジュ・ピシェグリュ他、(いずれもナポレオン打倒を企てた陰謀家)だろうが平気で警察に密告するタイプ。 下宿人の同情もうまく買っている。 (ヴォケェ夫人の亭主について)財産なくて、家だけ残した。 (料理人のシルヴィー) 1803、ジェルミナール法-1フラン=0.29グラム金、1フラン=500円。 下宿人は7人。2013/06/19
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