岩波文庫<br> 知られざる傑作―他五篇 (改版)

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岩波文庫
知られざる傑作―他五篇 (改版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 221p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003252918
  • NDC分類 953
  • Cコード C0197

出版社内容情報

「芸術の使命は自然を模写することではなくこれを表現することにある」という信念をいだいて一つの作品に十年の精進をささげた老画家が,限りなき理想と限りある人間の力量との隔絶に絶望し,ついに心血を注いだ画布を焼きすてて自殺する経路を描いた『知られざる傑作』を初め『人間喜劇』からえりすぐった六つの短編小説を収めた.

内容説明

「芸術の使命は自然を模写することではなくこれを表現することにある」という信念をいだいて一つの作品に十年の精進をささげた老画家が、限りなき理想と限りある人間の力量との隔絶に絶望し、ついに心血を注いだ画布を焼きすてて自殺する経緯を描いた「知られざる傑作」をはじめ『人間喜劇』からえりすぐった6つの短篇を収める。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

137
30頁程度の珠玉の短編6つ。濃厚な高級チョコのような味わい。長編が時に荒味に思えることもあるが、短編はどれも粒ぞろい。『砂漠の情熱』砂の続く砂漠の絶望感と豹の媚態『ことづけ』死にゆく青年からのメッセージへの返礼は妙齢の既婚貴族婦人の洒脱さ『恐怖時代の一挿話』死刑には必ずや執行人がいる。彼らの人生を考えてもみよ『エル・ペルデゥゴ』ナポレオン攻め入るスペインの貴族の気の荒さと高潔さ『知られざる傑作』半分読んで漸く「美しき諍い女」の事だとわかった。美しさは描ききることは出来ぬのか…。註釈も解説も素晴らしい2018/03/05

NAO

80
『ことづて』若い恋人同士が「きゃっ」と互いに抱き合うような物語を目指してバルザックが書いた、恋人同士が突然の事故によって引き離されてしまう話。33歳のバルザックのロマンチックな気分が初々しい。『恐怖時代の一挿話』革命という激動の中での宗教と政治の関わりを描いた小品。何の因果でか王を処刑する羽目になってしまった、死刑執行人の苦悩。まだ年若いバルザックは、この話をあまり深く掘り下げてはおらず、それが少し残念だが、こういった人物に目をつけるところに、バルザックの非凡さを感じる。 2018/11/30

はたっぴ

63
G1000&読友さんの推薦本。さすがバルザック!今回は短編集でページ数も少ないのですぐに読めるな…と侮ったのが大間違い。週末通して眼鏡をかけたりはずしたりしながら小さな文字を追い続けた。表題の「知られざる傑作」は文字通りの傑作品。「ざくろ屋敷」の冒頭の情景描写も圧巻。繰り出される語彙が豊富で、読み始めは言葉をかき分けて先に進むのが難儀なのだが、歌劇的な描写にだんだん快感を覚える。そして各々の短編集が純粋に興味深く、時代背景を補完した解説文も楽しめた。やっと「人間喜劇」の世界の入口に立てたような気がする。2015/11/15

スプーン

49
フランスの文豪の短編集。豪快で濃厚。生と死、喜劇と悲劇を凝視した文体には、人間と人生のすべてが渦巻いている。自身を文学にした男、それがバルザック。2022/02/17

Shintaro

49
いくつもの顔を持つバルザック。短編集を読むのは初めてであるが、いつもの人物紹介がないので好感を持てた。天才画家フレンホーフェルの独白が圧倒的な表題作、セクシーな豹と共生する『砂漠の情熱』、自分と同じ境遇の若者の死を、その愛人に告げる『ことづけ』、ルイ16世のミサを神父に依頼したのは…、『恐怖時代の一挿話』。バルザックも滞在したという『ざくろ屋敷』は一度は見てみたい。タイトルが印象深い『エル・ベルディゴ』。読友さんと同じく、人間喜劇の入り口に立った気分ですね。待ってろよバルザック。これからあんたとの勝負だ。2015/11/18

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