出版社内容情報
美青年ファブリスは陰謀渦巻くパルムの宮廷において美貌の叔母の庇護のもと,破瀾の生涯を送る.恋,政争,冒険,生と死.スタンダール独特の雰囲気によって読者をひきつける一方,作者が晩年に到達した人生観が作中人物の心理や行動を通じて随所にうかがわれる.『赤と黒』とともにスタンダールの代表作とされる.一八三九年.
内容説明
優雅で美しく無垢な青年ファブリス。ナポレオン崇拝のあまりワァテルローの戦いに飛び出してゆく彼の衝動的行動から物語は始まり、波瀾万丈の展開をみせる。恋、政争、冒険、生と死。『赤と黒』と並ぶこのスタンダール(1783‐1842)の代表作は、一生のあらゆる段階で読み返されるに値し、そのたびに味わいを増すとまで讃えられる。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ベイス
66
ナポレオンに理想を見いだし、みずみずしい感性でワーテルローへと馳せ参じるファブリス。無垢な彼を手助けしてやる女とのやりとりが特に印象的。後半に再登場を期待も、出てきませんでした。思えばこの参戦が、彼のその後の人生を縛り付けることになるわけで、なんともやるせない。貴族階級が体現する崇高な生き様は、封建制度が生んだ美徳のひとつなのだろうか。今ではすっかりお目にかかれない高貴な人間性に惚れ惚れする。2023/01/16
Major
66
多様な恋愛関係における人間心理の微妙な綾、階級社会がもたらす人間関係の陰影、戦争・政争の絶えない時代背景の中で所有欲、金銭欲、権力欲といった人間のエゴが辛辣に綴られている。これを数十ページ読んできて、すぐに頭に浮かんだのが「戦争と平和」だった。『戦争と平和』においても、このナポレオン戦争(ロシア遠征)を時代背景にして、上流社会における人生の諸相といったものが丹念に描かれている。『パルムの僧院』もトルストイの「戦争と平和」にも似た、一大叙事詩のように物語は展開していくが、トルストイほど時の流れや人の生死を2020/05/05
スプーン
39
世俗に振りまわされ、心の清濁を上下する主人公。 となると、下巻では改心へと向かうのだろうか?楽しみである。 ジェラール・フィリップ主演の映画版とは、主題も視点も異なる。2020/06/21
Vakira
39
初スタンダール。「赤と黒」ではなしに、岩波文庫の表紙の粗筋を読んで読みたくなった。「優雅で美しく無垢な青年ファブリス。ナポレオン崇拝のあまりワァテルローの戦いにて飛び出していく。彼の衝撃的行動から物語は始まり波瀾万丈の展開をみせる」とある。まんまと乗せられた。この青年、美しいのは認めるが無知で無鉄砲、他人の迷惑は気にしない。ちょっと僕は感情移入出来ないのだが・・・ジッドは「これまでにない最も偉大なるフランス小説」と評したらしい。敢えて共感の湧かない主人公を創造したところがスタンダールの凄い処かも。以下下巻2016/08/07
中玉ケビン砂糖
34
下巻へ2016/07/31
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