出版社内容情報
スペインの片田舎からサラマンカの大学に留学しようと故郷を去ったジル・ブラースが,山賊に捕えられたかと思うと貴婦人と脱出し,巨万の富を集めては一文なしになり,丁稚奉公から大臣秘書等々社会のあらゆる層を浮沈しながら身につけてゆくのは単なる処世術ではない.それゆえにゲーテの「教養小説」に匹敵しうるのである.フランス最初の職業的文士といわれるル・サージュ(1668‐1747)の代表作.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
119
なんだかんだでまとまる時も早いのね。思えば、旅行で何度も行ったスペイン。サラゴサやマドリッド、グラナダ、ヴァレンシア…。地図のどこにあるかわかるところにたくさんジル・ブラースが移動するものだから、この時代にどれだけ大変だったかと最終巻にしてようやく思い至った。常に仕えているようで、何度も振り出しに戻っているようで、その間に得た人脈と財産で、気が付けばそれなりの人物となっていたジル・ブラース。ようやく落ち着くことができて、こちらもホッとした。傑作というにはどうかと思うが、同時代の他の作品と比べてみようかしら2017/10/21
NAO
57
いったん引退したものの、再び返り咲いたジル・ブラースは、不遇の時に助けてくれた知人たちを今度は自分が助けて恩返しできるようにまでなった。つまり、ようやく、ジル・ブラースも本当に役に立つ人間になったということだろうか。そして、ポルトガルの独立により国力が衰えてまたしても政局が動きそうになると、ジル・ブラースは貯めた金とともに田舎に引っ込んだ。結局、ある程度以上の金さえあれば、田舎で静かに暮らすのが一番幸せなようである。繰り返し出てくる多くの登場人物の中で、ジル・ブラースの忠実な執事シピオが特に魅力的だった。2017/09/29
takeakisky
1
サンチラーヌ殿の長い遍歴が、やっと終わる。最終分冊に収められた三篇は、言ってみれば長い長いエピローグ。全て収まるところに収まってめでたしめでたし。今までの出演者がかわるがわる登場し、記憶が新たになる。終わると一抹の寂しさを覚える。2023/08/26
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