出版社内容情報
諷刺は専制権力と戦うためのもっとも強力な武器である.そうした態度で「合理主義者の王ヴォルテール」はこの小説を書いた.ここには,当時のパリ社会を諷刺した「浮世のすがた」,「哲学小説」と銘打った「ミクロメガス」,その他機知に溢れた軽妙きわまる幾つかの小品,最後に彼の宗教観を示す「ジェニー物語」を添えた.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
kazutox
6
短編6本と中編の「ジェニー物語」。そのうち「浮世のすがた」「メムノン」「ミクロメガス」は新版の岩波文庫『カンディード』とかぶってます。「ジェニー物語」は無神論者と牧師の論戦で、珍しく神への信仰を弁護しているもの。と言ってもあまりキリスト教の神っぽくないし、露骨に反カトリックですが。ほかはだいたいいつものヴォルテール。2024/02/26
Fumoh
5
ヴォルテールの短編が収録されています。彼の時代を考えると、わたしが知っている限り、このような「懐疑」のストーリーを考えるのは当時にしては画期的なものであったと思います。ヴォルテールの思想については浅学なため詳述はできないものの、彼がこれらの短編で示そうとしたものは理解できます。彼は「社会」が、御用学者や聖職者の言うような、単純なものではないということを示したかったのです。民衆はただの愚か者ではないし、宗教というのは昔の宗教家が教義を解釈した通りのものではなかった。それらは一つの型に過ぎず、世界はもっと雑多2025/11/02
讃壽鐵朗
3
フランス史をよく知っていないと面白みがわかないようだ2016/06/27




