出版社内容情報
「われわれの美徳は,ほとんどの場合,偽装した悪徳に過ぎない」――よく知られたこの一句が示すように,ラ・ロシュフコー(一六一三―八〇)の箴言は,愛・友情・勇気など美名の下にひそむ打算・自己愛という業を重い律動感のある一,二行の断言であばき,読者を挑発する.人間の真実を追求するフランス・モラリスト文学の最高峰.
内容説明
「われわれの美徳は、ほとんどの場合、偽装した悪徳に過ぎない」―よく知られたこの一句が示すように、ラ・ロシュフコー(1613‐80)の箴言は、愛・友情・勇気などの美名の下にひそむ打算・自己愛という業を重い律動感のある1、2行の断言であばき、読者を挑発する。人間の真実を追求するフランス・モラリスト文学の最高峰。
目次
箴言
削除された箴言(M・S)
没後刊行の箴言(M・P)
考察1~19
ラ・ロシュフコー自画像
レ枢機卿によるラ・ロシュフコー公の肖像
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
5 よういち
100
作者のラ・ロシュフコーはフランス貴族の名門の出で、人間性と人間の生き方を探求し書き記したモラリスト。そのロシュフコーがひとつひとつ作り上げた箴言を集めたのが本書である。◆人間性や人間の生き方を皮肉り、辛辣に表現したものが多い。しかし、そこには真実があるのだろうと思う。毒もそれなりに入っていて、耳障りにとれる箴言も多いが、そこは良薬、口に苦しと取るべきだろう。頭から読み込むのではなく、思い出した時にときにパラパラとめくって読んでみるのが良いかと。◆『我々の美徳は、ほとんどの場合、偽装した悪徳にすぎない』2019/06/30
カブトムシ
48
ラ・ロシュフコー(1613ー80)の箴言は、人間の真実を追求するフランス・モラリスト文学の最高峰といっていいでしょう。「友達の幸福からわれわれがとっさに感じる喜びは、われわれの生来の気だてのよさからくるのでも、友達に抱いている友情からくるのでもない。それは自己愛のひとつのあらわれであって、自己愛が、次には自分も幸福になれそうだとか、友達の幸福から何か便宜を引き出せそうだとかいう希望で、われわれの心をくすぐるのである」(p155)「自己愛」こそ彼の箴言を読み解くキーワードなのです。
スプーン
42
再読。決して感情的に語らず、理性的である。駄本を100冊読むよりも、これ一冊を読むべきである。2019/04/12
かわうそ
39
①フランス人特有の性悪説に基づいた視点で展開されている。ここでも、妬みの感情がどれだけ人間にとって切っても切れない関係であることはここでも見て取れる。ここでラ・ロシュフコーは嫉妬を明らかに悪く捉えているけれどもここまで根を張っている感情である嫉妬が人間にとって悪いものであるとは到底考えられないのである。 ②希望がなければ恐れもない。恐れがなければ希望もない。希望と恐れはトランプの裏表のようなものであり、恐れを克服して希望に向かうことこそ希望を叶えるための唯一の手段である。2022/05/07
かわうそ
39
★★★★★巻末の索引が素晴らしい。この索引があるのと無いのとでは天と地の差。31「もしわれわれに全く欠点がなければ、他人のあらさがしをこれほど楽しむはずはあるまい。」132「他人に対して賢明であることは自分自身に対して懸命であるよりもたやすい。」184「われわれが自分の欠点を告白するのは、その欠点のせいで人から悪く思われる分を、率直さによって埋め合わせるためである。」348「恋をすると、人は最も信じているものまでしばしば疑う。」肝に銘じたい 2021/11/28
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