出版社内容情報
興の赴くまま人間について語り続けるモンテーニュ(一五三三‐九二)の筆致には,一種いい難いあじわいがあって,われわれの心を引きつける.プルタークに傾倒し『倫理論集』を愛読した彼.自領の館に引退し,古人のひそみに倣って悠々自適の生活を送った彼.読み進むにつれて,そういう彼の人柄が読者の眼前に彷彿するにちがいない.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
13
「天命を判断するには慎ましくすること」(第1巻32章)から「残酷について」(第2巻11章)にわたる本巻には、人間が作ったシステムに神の名を冠したキリスト教社会に対し、ストア派的な善・徳・高潔さにおいて、神の名の下に命ずる権威に応える著者の姿勢が全37章のあちこちに見られる。侮辱を受け流す善、怒りを理性で抑える徳、与えられた死を受け入れる高潔さは、神の権威を騙る残酷さへの応答に留まらない、自然に対する人間としての態度である。不可知なものは知で覆わない。このモットーは外に権威を求める習慣を内から徐々に変える。2022/05/05
うた
12
モンテーニュの楽しみを一言で表すことは難しい。ストア派の節制と規律、プルタルコスの豊富さ。古代現代における彼の意見。知らないことも多くあるが、彼を通して事物の本質ににじり寄っていく様がまた小気味よい友人を持った気持ちにさせられるのだ。2024/07/15
還暦院erk
10
図書館本。精読&抜き書きノート14頁分。著者さんみたいにわたしも人生を振り返ってまとめたいなぁと思ったけど、『似非ぇ』になるのがオチだよね…。第一巻第39章「孤独について」と第二巻第6章「実習について」(←落馬臨死実体験の記述が凄い!)、及び第10章「読書について」などが印象に残った。第11章のモンちゃん♡好き♡→「私は、あまりにも子供っぽく優しい性格のために、私の犬に時でもない時にじゃれつかれたり愛撫を求められたりするとことわり切れなくなるが、それを人に言うのをちっとも恥かしいと思わない。」2019/11/15
bandil
7
ゆっくりと読了。ゆっくり読み過ぎてあまり記憶にないのでパラパラと見返す。「いいな」という箇所に引いた己が赤い線を読み直す。「やっぱりいいな」と思う。こういう「いいな」が心の深みに沈殿して、人としての深みが出るようになればいいなと思う。近い効果は期待せず、第三巻もゆっくり楽しもうと思う。2019/02/24
ロッシ
6
こういう随筆には、そんな考え方、見方があるのかと、視野を拡げてくれる効果がある。読んだ内容は、自分の意識の上には、残っていないが、無意識の中に確実に刻まれているだろう。2012/10/31