出版社内容情報
フランスの詩にルネッサンスをもたらし,近代抒情詩の父と讃えられるロンサール.ここに集められたのはその数多い作品から選び出されたみずみずしく美しい詩四十五篇である.自然をたたえ,ミューズに呼びかけ,そして何よりも恋の嘆きと歓びを,みやびやかに清純にうたいあげる.詩人の恋がその恋愛詩に結晶し高い香りを放つ.
内容説明
ロンサールはフランス詩にルネサンスをもたらし、「フランス近代抒情詩の父」と讃えられる。ここにその数多い作品からみずみずしく美しい詩45篇を選択して贈る。自然をたたえ、詩神ミューズに呼びかけ、そして何よりも恋の嘆きと歓びをみやびやかに清純にうたいあげる。詩人の恋はその恋愛詩に結晶し、高い香りを放つ。
目次
ベルリの泉へのオード(おお、ベルリの泉)
マクルー・ド・ラ・エーの帰国を祝うオード
ベルリの泉へのオード(きけ、われを、泉)
おのが墳墓をえらぶオード
麦の近くに植えられたばらのオード
おのがミューズへのオード
カッサンドルへのソネット(信頼し、あやぶみ、もだし)
カッサンドルへのソネット(いちはやくあなたの頭には霜の花が咲いて)
カッサンドルへのソネット(あの褐色の二つの眼、私の生命の焔)
カッサンドルへのソネット(千のなでしこ、千のゆりが私の腕にからみつくのを)〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
98
「フランス近代抒情詩の父」と呼ばれるロンサールの四十五編の詩。清新な抒情を湛えた美しい詩が多く、詩を読む喜びを味わえる。井上氏の訳は品位があり、リズミカルで原詩の持つ音楽性を失っていないと感じた。二十八の「ばら」は絶唱。薔薇の美に人生のはかなさを重ねあわせて、抒情詩の極みと呼べる作品になっている。2014/11/30
スプーン
25
愛と自然、神々を賛美したフランスの詩人。愛の葛藤、心の叫びには俄然、力が入っている。「死」までも詩にしようとした、生涯をかけた創作活動。500年後の今も光り輝く。2018/06/17
双海(ふたみ)
22
「私はつくる、美しい詩句を、ホラチウスのつばさに乗って 長い 世紀を生きる詩句を」・・・ほんとうにその通りになりました。花をうたう詩が好み。2015/01/30
うた
11
例えるならハイドンやモーツァルトの弦楽四重奏だろうか。軽やかに恋の喜びや美しさを歌い、苦しさについて語る箇所でもそれは損なわれることがない。井上先生の訳文も詩として十分な響きと味わいがある稀有な訳詩集。2016/07/19
うた
8
古詩の伸びやかさよ。愛も死も、諍いさえも軽やかに広げていくロンサールの詩心よ。詩は美しさであり、楽しみであり、読むものを喜ばせるものだということを思い出させるには、この小さな詩集があれば十分だろう。2022/08/29