岩波文庫
長靴をはいた牡猫 (改版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 126p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003244319
  • NDC分類 942
  • Cコード C0197

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬弐仟縁

11
1797年初出。諷刺滑稽劇。動物の方が人間より利口である、との台詞は一理あるような気もしてくる。動物の方が自然の摂理に適った活動をする。人間の方が自滅の原発をつくり、ゴミを処理できないのを承知でつくったので、か。道化師ハンスウルストは、「賄方は料理で生き、仕立屋は虚栄で生き、おれは他人の笑いで生きてゐるんだ」(59頁)。どんな職業でもそれなりに社会的意義があって存在していようが、虚栄とか偽善というのには最近反応しやすいか。百姓クンツは、法律の存在意義に疑問を問うている。人民整頓のためなのか、と(93頁)。2013/03/13

ホームズ

7
普通に童話の『長靴をはいた猫』の戯曲かと思って読んでみたけど大分違った(笑)一応ベースにはなってるけどドタバタな喜劇で皮肉がきいていたりちょっと想像とは違いました(笑)2012/05/28

iwri

6
メルヘンを題材にとったイローニッシュな喜劇。解説でも触れられているように、ティークらしいと言えるロマン的イロニーの手法がふんだんに使われ、劇を見る・観客を見る劇というメタ構造に、劇中劇においても今演じられている劇に対する寸評、劇中劇を見る観客への言及と言った多層的で複雑なメタ的な言及に満ちている。初期ロマン派のイロニーを技巧的に取り入れた、本当の意味でロマン派的作品。2012/07/14

ダイキ

4
大学図書館。ドイツロマン派。全体がイロニーと風刺で充ちた作品で、始終楽しく読む事が出来た。巻頭の登場人物紹介の項から既に「法律……化物」なんて書いてあって面白い。「シュレーゲルが芸術家の持つべき能力として要求する、対象の不断の破戒ならびに再建ということは、芸術家がみずからに選びあたえそのうちに沈潜するところの素材からいつでも浮びあがることができ、任意にそれを変形してどんな形にでもなしうるという、そういう自在な支配力にほかならぬのであるから、一種の精神的飛行能力である」〈解説〉2016/10/22

tieckP(ティークP)

3
再読。長靴をはいた雄猫を戯曲化した、だけではなく、それを見ている観客の反応や作者の弁解までも登場人物の台詞にしてしまった、メタ性の強い画期的な作品。時代性や作家の年齢(24歳)を考えるほどに素晴らしく天才が光った戯曲だと思う。しかもそうした試みの初期にあたる作品だろうに、その手法がこなれている。新奇な手法を導入しただけが売りの未完成といった作品ではなく、十分に代表作として通じるような完成度を備えている。むしろ欠点は、ティークのその器用さだろうか。もっと違和感を突きつけた方が注目を浴びたに相違ない。2014/06/02

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