出版社内容情報
本当の救いとはなにか? 善行を積めばよいのか? ブレヒト(1898-1956)が世界恐慌期に放った「叙事的演劇」の傑作。資本主義経済が労働者を搾取しつくす現実に、宗教や道徳を掲げる純真なヨハンナが挑む。果たしてその行方は――行動なき善の限界と、真の変革とはなにかを鋭く問いかける。
【目次】
凡 例
聖ヨハンナ――奈落への道行き
訳者解説
内容説明
本当の救いとはなにか?善行を積めばよいのか?ブレヒト(1898‐1956)が世界恐慌期に放った「叙事的演劇」の傑作。資本主義経済が労働者を搾取しつくす現実に、宗教や道徳を掲げる純真なヨハンナが挑む。果たしてその行方は―行動なき善の限界と、真の変革とはなにかを鋭く問いかける。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
新田新一
59
1932年に発表されたブレヒトの戯曲。キリスト教を固く信じる女性ヨハンナが、食肉業界のボスであるマウラーを改心させようとします。ヨハンナは浮世離れしたところがあり、キリスト教の教義に基づいた言葉を饒舌に語り続けます。マウラーは典型的なビジネスマンで、ずる賢く立ち回って自分の利益を増やそうとします。でも、良心も持ち合わせていてヨハンナの言葉に耳を傾けることも。劇の結末は苦いです。ヨハンナは命を落とします。ただ最後の台詞に救いがあります。(コメント欄へ続きます)2026/08/01
くくの
11
難しい。「奈落への道行き」とはと思って読み始めたが、経済的思考ができないと、なんか畜産業者とか缶詰業者とか労働者とかが苦しみ、そこに黒の麦わら帽子教団が都合の良いような宗教的なことを言う。でも、教団もお金が必要だから、資本主義の親玉マウラーの助けを借りようとしたりする。マウラーもなんかよく分からない。ヨハンナに入れ込む弱気の男なのに、缶詰業者や畜産業者とか労働者から恨まれてるし、すごく複雑。きっと原文では何か韻を踏んでいるのだろうけど、言い回しも引っかかる。ヨハンナの行動も良く分からない。2026/08/20
roughfractus02
10
1932年に発表された本書は、著者が作詞を、E・ハウプトマンが脚本を手がけた世界恐慌前夜が舞台の音楽劇『ハッピーエンド』(1929)の改作だという。が、本書では宣教師とギャングの恋愛が救世軍の女性と資本家との対立に代わり、女性はジャンヌ・ダルク、屠殺場を経営する資本家は人をモノとして扱う資本主義経済の寓意となる。様々な階層の多数のエゴに消耗し、衰弱して死ぬ女性はその善意ゆえに死後聖別されて宗教的称賛も受ける。が、著者は宗教も人をモノや情報に変える資本主義の物象化の一部である点に観客(読者)の注意を向ける。2026/08/14
uburoi
3
p112「不幸は雨のように降ってくるものではなく、利益を得ようとする少数の者によって引き起こされる」という噂に黒教の少佐スナイダーは警戒を覚えるのだが、一方でヨハンナは教会を離脱する。そして奈落へ。ここで鍵になるのは宗教と商業主義との葛藤のドラマだ。どちらも貧者を救おうとする立場でもあり独占欲にもかられるものとして対立している。AI普及による半導体需要の高まりと物の値段の高騰、職を追われる労働者という現代にとって大いに示唆に富んでいる。2027年公演にはそんな現在性を期待したい。2026/08/13




