出版社内容情報
シッダルタは学問と修行を積み,聖賢になる道を順調に歩んでいた.だが,その心は一時として満たされることはなかった.やがて俗界にくだったシッダルタだったが…….ヘッセの深いインド研究と詩的直観とが融合して生み出された〈東洋の心〉の結晶とも言うべき人生探究の物語.原文の格調高い調べを再現した達意の名訳.
内容説明
シッダルタは学問と修行を積み、聖賢になる道を順調に歩んでいた。だが、その心は一時として満たされることはなかった。やがて俗界にくだったシッダルタだったが…。深いインド研究と詩的直観とが融合して生み出された“東洋の心”の結晶とも言うべき人生探求の物語。原文の格調高い調べを見事な日本語に移した達意の訳。
目次
第1部 (ちちははの家;沙門たちのもとで;ゴータマ;覚醒)
第2部 (カマラ;小児人種のもとで;輪廻;河のほとり;渡し守;子;「オーム」;ゴヴィンダ)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
99
面白かったです。シッダルタの涅槃に入るまでの物語。学問と修行で聖賢になる道を歩みつつも、空虚さを感じていたことが俗世と交わることになり、煩悩を知ったのだと思います。シッダルタの生涯を通じて、深いインドへの造詣と東洋の心を見ることができました。インド研究と詩的な世界が融合した人生の物語ということができるでしょう。シッダルタというと、後の仏陀となるゴータマ・シッダルタを連想しましたが、全くの別人でした。2016/05/24
naoっぴ
67
主人公シッダルタは、家を離れ修行の道を選ぶが悟りには遠く、その後も次々と身分を変え、自らに問いかけながら日々を重ねていく。流れるような文章のリズムが心地よい。自問し気づきを得る瞬間や、友や師との会話のひとつひとつに美しい詩的な響きがある。難しい言葉ではないが意味するものは深く、ゆっくりとかみ砕くように読んだ。善も悪もなくこの世の全てが時を超えて合わさり、河の奔流となって聞こえてくる光景が素晴らしい。思うがままに生きよと言われているような気がした。主人公とともに思索の旅を歩んだような心地よい読後感。2020/07/15
藤月はな(灯れ松明の火)
47
全てに祝福され、愛されたゴータマ・シッタールタだがその心は全てに喜びを見いだせず、空虚であった。彼はその空虚さを満たすために断食などの修行に出ることで「真理とは己であること」を理解し、己という存在を感じるために俗世に交わって生きていく。そして彼が到達したこととは。森羅万象について悟っていたのは言葉を使うことで真理を理解しようとする修行僧でもなく、自分が持っている仕事を無心に行う渡し守だったという点に『星の王子様』の点燈夫を思い出しました。智慧とは言葉で教えられるのではなく、生活の中で自然と悟る様なもの。2015/07/02
gtn
41
仏門に入った友を捨て、世尊に帰依しなかったシッダルタ。彼は世尊の教えが完全なるが故に、既存の法則が「再び毀され廃棄される」ことに不安を覚えたという。それに対し、教えの目的は、世界を求知の心に燃える人々のために解明することにあるのではなく、「苦悩よりの解脱」にあると説く世尊。「あまりに大いなる賢さを心せられよ」とシッダルタを戒める。真理に縁した場合、まずは信じろということか。求道者は悟りから最も遠い存在かもしれない。2021/03/07
著者の生き様を学ぶ庵さん
40
手塚訳に注釈の類おほかたなく、本文に没頭せり。只の修行僧ゴヴィンダはシッダルタとの対比に使はれし者。単なる修行僧にシッダルタが智慧を伝ふる能わず。シッダルタが真の声を聴きしは、また定めとの戦ひや苦しみを止めしむる真理を説く河の声をシッダルタに聴かせしは、河の渡し守ヴァズデーヴァ也。結びには凡庸なるゴヴィンダだに、シッダルタが微笑みに、釈尊にも匹敵したる崇高の念の現はれたること、気付きにけり。ヘッセの東洋思想を研究したるや、かくもいみじきほどにて、首の垂れる思ひなり。2016/09/24
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