出版社内容情報
リルケの詩人としての歩みは苦悩に満ちた長い道のりであった。本書では、初期から最晩年に至る詩作の歩みを全貌できるように配慮し、『オルフォイスに寄せるソネット』は全篇を収録、後期の詩とフランス語の詩も多数収めた。
内容説明
本書では、初期から最晩年にいたるリルケの詩作の歩みを見渡すことができるように配慮し、『オルフォイスに寄せるソネット』は全篇を収録、後期の詩とフランス語の詩にも多くの紙幅を割いた。
目次
『第一詩集』より
『初期詩集』より
『時祷詩集』より
『形象詩集』より
『新詩集』より
『ドゥイノの悲歌』より
『オルフォイスに寄せるソネット』
“後期の詩”より
“フランス語の詩”より
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- 評価
本屋のカガヤの本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
lily
80
根、蛇使い、葡萄酒、楽器の弦、花...今日は何になろうかな、なりたいかな、なりたくないかな。遊びたいかな、会いたいかな、離別したいかな。眠って決めようか。今日も月が綺麗だったから。もう心は撫でられて。2021/05/03
壱萬参仟縁
38
これを読んでいるのは、10月初旬。『形象詩集』(1902年)「秋」で、「木の葉は否むような身振りで散ってくる」「だが、この落下を限りなくおだやかにその手に受け止めてる一人のひとがある」(52頁)。台風14号の進路がビミョーだった時季である。他、『薔薇』(1924年)より で、「わたしは見る ・・・・・・ わたしは見る、薔薇よ、半ば開かれた本、こまやかにしるされた幸福のページがいっぱいで、とうてい読みきれない、魔術師のような本。 2021/01/31
絹恵
38
(再読)永遠を求めた瞬間から零れ落ち始めたのは、季節が纏った色彩だったのかもしれない。だから私たちは、忘却を重ねながら、それでも数多の深夜と白昼を繰り返し、儚きを愛する。左に伝う涙さえ忘れて。そしてこの寄る辺無い世界の際で、両目を焦がし、唇を縫い閉じても、私は言葉によってまだ生きていることを知る。(PSYCHO-PASS監視官 狡噛慎也4巻より鴇峰季國の本棚から)2017/10/20
Gotoran
25
愛や孤独の詩人、リルケ。愛と死や幸福と苦悩、不安、孤独、自己の実存、神といったテーマで、哲学用語を使わず人間と事物の存在について根底から問い詠う。 代表作の一つ「ドゥイノの悲歌」は第1悲歌と第9悲歌のみの収録。また、時間と心のゆとりがある時に、静寂な時間帯で、本書の中の詩を読み、沈思黙考したい。 「ドゥイノ悲歌」については、他訳書で全篇を噛みしめてみたい。2013/08/26
ロビン
23
1875年プラハ生まれのオーストリアの詩人ライナー・マリア・リルケの詩集。詩は年代順に並べられ、代表作である「ドウィノの悲歌」は第1歌と第9歌のみ、「オルフェウスに寄せるソネット」は全編収録されている。透明感のある抽象的、神秘的、音楽的な詩風(と言っても邦訳で感じるものだが)で、意味の取りにくい詩が多い。水が流れるような、風が吹くようなリズムで語られる独特の無常観と、「天使」の表現で示されるやはり独特の「神」の感覚とが根底にあるように感じられる。心の傷口に静かに共苦し撫でていく風のような詩群だった。2020/09/28