出版社内容情報
シュトルム後半期の作.あくまで気分を重んずる詩人であった彼は,取り上げた事件に「思い出」という光をあて,そこに浮き上ってくる映像を,熱意をもって直截簡潔に描き,象徴的な意義をもたせる.「三色菫」は継母の心境を描き,「溺死」には溺死した子供の絵に回想の緒を求め,画家の感傷的な手記をひもとかして妖しく読者の心をひく.
感想・レビュー
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ワッピー
4
バツイチ・子連れ男と結婚したイーネスのアウェー感による苦悩の果ての再生・・・と書くとなんだか鬼女板のようだなぁ(三色菫)/画家として修業を終えて戻ってきたヨハネスは、孤児だった自分を守り育ててくれた恩人の娘カタリーナに再会し、その肖像画を描くことになる。互いに好意を持っていた二人の仲を妨げる兄のヴルフとその仲間クルトからカタリーナを守ろうと苦悩するヨハネスは二人で逃げ出す計画を立てるが、彼女は姿を消し、長い歳月を経て思いがけぬところで再会したとき、悲劇が・・・ドイツロマンのスパイスは偉大なり。(溺死)2014/10/04
シンドバッド
0
高校生の時の英訳がテキストであったことからシュトルムを知った。 なんとも表現がしがたい、シュトルムの世界が魅力。