出版社内容情報
比較言語学・説話学の分野に偉大な足跡しるすグリム兄弟が,ドイツ各地で口から耳へと伝えられた昔話の数々をあまねく採録.児童文学の一大宝庫であり,民間伝承研究に不可欠の文献である.名訳をもって知られるこの金田訳は,一八五七年刊の原著決定版から削除された昔話をも数多く収録する.KHM番号を付記した.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やいっち
78
王さま、王子さま、王女さま、悪魔、意地悪か姑息というか、現実的な兄乃至姉二人と、どんくさい末弟か末妹という、三人の息子(娘)たちという登場人物。娘は誰も観たことのない美しさ。美人か金持ちか、魔力的能力(才能)を持つ人物でないと話の俎上に上らない。王さまは娘の意志を確かめることなく、自分の決めたところに嫁がせる。深い森にすむ動物たちは不思議な力を持つ。森の案内者でもある。擬人化された森の動物たち。動物に限らず家や木も不思議な力を持つ。2021/07/05
TSUBASA
16
岩波の2巻目では有名な所では『青ひげ』『野ばら姫』『雪白姫』あたりが収録されている。世に数多ある小説よりも自由で不条理なのが童話だと思う。童話の世界の道理に身を任せればこんなに面白い物語って他にないんじゃなかろうか。気に入ったのは、3人兄弟の末の王子が黄金の鳥を追うも、狐の忠告を破って危ない目にあってはまた狐に助けられ、最後には幸せをつかむ『黄金の鳥』と、オツムの足りない奥さんが色々な失敗をしでかしては「だってあなたそう言って下さらないと」と居直るのがなんとも笑える『フリーデルとカーテルリースヒェン』2015/08/23
山田
7
同じ系統の童話を2篇3篇と続けて読んでしまうと、「ご親切にどうも」と思ってしまう。例えるなら、「桃太郎」の男の子バージョンと女の子バージョンを読むような感じ。ストーリーは変わらないし、セリフの言い回しが微妙に違う程度。 そして、童話とはいっているけど、グリム童話って色々な土地の民話や伝説がベースになっている。きっと貧しい農民の鬱憤もあったのだろう。この巻では、神様や聖母マリアを悪しげに罵ってみたり、死神をありがたがって名付け親を頼んだりする話が多い様に感じた。2020/11/14
takakomama
6
第2巻は48話。有名な「白雪姫」の正確な題名は「雪白姫」だそうです。似たような話、怖い話、残酷な話も多いです。2022/04/29
みけねこ
2
少し暗めの話が多い印象。『青髭』や『人ごろし城』を含む、グリム童話から削除された話もポツポツ収録されている。たしかに良い話ではないけど、1巻に収録されている『子どもたちが屠殺ごっこをした話』の方が邪気のない狂気があってやばいと思った。個人的に『ヨリンデとヨリンゲル』のタイトルや内容(特に「シュー、フ、フ、フ」が「ガタンコガタンコシュウフッフ」とリンクした)が宮沢賢治の『シグナルとシグナレス』とどこか通ずるものがある気がして、そっちも読み返してみようと思った。これが元になっているんだろうか。2022/01/08