岩波文庫
イタリア紀行 〈下〉 (改版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 413p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003240618
  • NDC分類 945
  • Cコード C0198

出版社内容情報

詩聖ゲーテが『詩と真実』の続編として意図したこの旅行記において,彼はあくまで率直,自然に,真に自分の眼で見,胸で感じたことを淡々として物語り,口ずから旅の物語を聞く感じを読者に与える.作品として興趣尽きないばかりでなく,彼の生涯の一大転機をなす体験の記録としても意味深い.一八一六―二九年.

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Gotoran

48
ナポリやシチリアなど南イタリアの旅を終えたゲーテは、再びローマに戻った。本書、下巻は、第2次ローマ滞在10ヵ月(6月~4月)の記録。特に風俗文化面での臨場感溢れた「ローマの謝肉祭」の描写や「諧謔聖人フィリッポ・ネリ」の挿話が面白かった。上・中・下全巻を通して、ゲーテは、憧れの地イタリアの芸術と人と自然に触れて、自己の内燃の成長を果たし、詩人として再生する過程が生き生きと記されている。2019/05/08

イプシロン

29
下巻こそ『イタリア紀行』の白眉といえよう。自然と芸術と生命と創造の関係性――人間にとっての内的真実――が語られる部分は高尚な哲学であり宗教のレベルだ。それとの対比として、謝肉祭の様子を伝える抒情小説ともいえる部分の筆致の差に唖然とさせられた。一見すれば俗な祭にみえる謝肉祭の様子は、実は自然と芸術と生命と創造の実例であると気づけば、身震いする感動があるはずだ。あるミラノ娘との恋に気づく場面では、愛とは無心であること。また人間に可能な創造も無心からしか起りえないという結論は仏教の哲理そのものといえるだろう。2019/02/03

さきん

27
古代の記念物はいくたの世紀を経た後に、大部分崩壊して不恰好な集塊になってしまったのであるが、近代にそびえ立つ建築も後代においては数多の崩壊した家屋となるであろうことを私は残念に思わずにいられなかった。一体、地上の物が、本来の物理の力を欠いているのに、いかにして単に道徳的ならびに宗教的な支柱によって、現代に自ら保持してゆくことができようか? ゲーテ1462016/10/20

会津の斎藤

20
下巻はやや時間がかかりました。 味わいのある旅でした。 当時の人々の生活ぶりが分かったし 何よりもゲーテの違った一面を目の当たりに出来て良かった。2021/08/19

くみ

17
旅に出る喜び溢れた上巻、シチリアを心から楽しんだ中巻、そして下巻はローマでの著作や芸術の日々。「集中しなければ」という気持ちが強いようで上中巻より固い感じを受ける。難解な芸術論も続く。そんな中でも光を放つのはローマの謝肉祭の記録。祭りの様子も細やかに写実的なのにダイナミック。ここを読むだけでも下巻を読む価値あり!一瞬にして18世紀のローマに連れていかれ、カーニバルの喧騒と華やかさに巻き込まれます。2019/10/22

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