岩波文庫
阿呆物語 〈中〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 261p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003240328
  • NDC分類 943
  • Cコード C0198

出版社内容情報

17世紀のドイツは,新しい世界創造への苦悶の時代,二元的な生活感情に悩む時代であった.グリンメルスハウゼン(1622頃‐1676)はその知的苦悩と矛盾をこの作品に純粋かつ強烈に描いた.主人公ジムプリチウス生成の歴史は個人のものではなく人間一般にまで象徴化されている.ゲーテの「ヴィルヘルム・マイステル」の先駆ともみなされる作品.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

roughfractus02

8
作者の投影としての主人公という点では17世紀に相応しい近代小説の特徴を備えた本書だが、経験を積み上げていく18世紀以降の教養小説と異なるのは、様々な出来事に翻弄される主人公が容姿まで変わるというところにある。出世から堕落へという社会における振幅を駆け下りる主人公は、人々との関係が変わるだけでなく、病気によってその美貌も醜悪へと変わる。戦争と経済によって心身の病が蔓延する世界では、変わらないものへの憧れが募る。キリスト教を知る読者は、変わらないものを示唆する清貧の人物が出てきて彼の回心を促す場面を期待する。2019/10/24

壱萬参仟縁

4
「人間は芽が出始めるとすべてがとんとん拍子に行くものである」(88ページ)。力を引き出すのが教育だが、詰込みではな。教育を変えないとね。「亭主に死なれた夫人はすぐに再婚しないのが美しいこととされています」(96ページ)とあるが、そんなものかもしれない。母子家庭なら経済的に再婚すべきかもしれんが。「ある人間には不幸が順序を追ってのんびりと訪れるし、ある人間には一度にどっと訪れる」(122ページ)。個人差ある人生模様。「剣は研ぎ過ぎると刀がこぼれるし、弓は弦を強く張り過ぎるとついには折れる」(135ページ)。2013/02/08

春色

1
ジムプリチウス一代記、転落編。上巻で兵隊として若さに見合わぬ出世を果たしたジムプリチウスは徐々にキリスト教徒としての務めを忘れ、堕落して行く。フランスへ行く羽目になったジムプリチウスはそこでも人々から愛され結構な生活を送るが、その結果として美しい顔も声も病によって失ってしまう。金貨に恵まれ、見放され、また微笑まれた末に乞食となった無二の友人ヘルツブルーデルと再開する。2010/07/04

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