岩波文庫
ブラック・ボーイ―ある幼少期の記録〈上〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 361p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003232811
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

出版社内容情報

たまたま黒い皮膚をもって生まれたという,ただそれだけの理由で,何が故に彼らは言語に絶する貧困と人種差別の痛苦を受けなければならないのか.宿命を負った著者の,忠実な自伝的小説である本書には,いわゆる「黒人問題」の社会的論議はない.むしろ抒情的ともいえる筆致で,読む人すべての胸に訴えつづけてやまない.

内容説明

Change!をうたう21世紀のアメリカ。だが1世紀前は?没後50年になる黒人作家ライト(1908‐60)が証す凄まじい貧困。南部に生まれた気性烈しい子供は、大人への妥協を拒み衝突を繰返す。叔父が殺され初めて人種を意識した事件、南部の苛烈な現実へのめざめを湛えた少年の眼。叙情とバイオレンス漂う自伝小説。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

goro@80.7

21
こんなにも子供の時の記憶がしっかりしているのかと思う。自分の小学生の時の記憶なんて遠い彼方にうっすらととしかないのだけど、それだけ過酷な時代の記憶は忘れられないものなのだろう。差別、貧困、飢餓の自伝であるけど悲惨を悲惨で終わらせないブラックボーイの破天荒さが憎めない。食べものだけに飢えていたわけじゃないボーイの続きが気になるので下巻へ。2015/08/09

アイリ

14
学校のレポート課題で読みましたが読んでよかったと思える本でした!南部の白人社会での黒人の扱いがとても酷く、人種差別が著者の実体験を通して具体的かつ現実的に表現されていて少し読むのが辛くなる場面もありました。自伝小説なので、リチャードの幼少期〜青年期にかけて、家族や親戚からの虐め、激しい人種差別や極度の貧困を経験し成長していくリチャードの姿が色濃く表されています。私がもしリチャードだったら耐えられないことがたくさんあり、よくリチャードはずっと耐えてきたな...と思いました。ぜひ興味のある方、読んで欲しいです2019/12/29

壱萬弐仟縁

8
育ちざかりの子どもの孤児院での食事。空腹と、恐怖。一日2食。寝る直前に、糖蜜付きの薄いパン一枚のみ(65ページ)。切なくなるな。「ぼくという人間の本質や生き方のために、自分では共感してもいなければ共感できもしないのに、他人がそれをぼくに期待しているというだけで、他人の望む通りにぼくも行動してしまう」(83ページ)。他人指向型の人間像。少年にありがちか、大人にも、か。224ページの僕は、母親からのお膳立てされ過ぎた躾で人生を自由に生きられなかった旨が書いてある。子どもを信頼できない親は窮屈人間をつくるのか。2013/01/23

芋煮うどん

5
4歳のときの自分が引き起こした火事の記憶からはじまる、ある黒人男性の回顧録。厳しい生活の記述が続く中、時折さしはさまれる、自然描写の美しいこと。下巻へ続く。2023/03/27

Holden Caulfield

3
本作は、 リチャード・ライトの、 『自伝的スケッチ』 今の時代のアフリカン・アメリカンの若者達がこの作品を読んで、どのように受入れ、どう感じるのか、その感想を聞いてみたいと思う、 レビューは下巻読了後に、 2019/08/01

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