岩波文庫<br> 喪服の似合うエレクトラ

  • ポイントキャンペーン

岩波文庫
喪服の似合うエレクトラ

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 245p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003232521
  • NDC分類 932
  • Cコード C0198

出版社内容情報

南北戦争から帰還した旅団長エズラは妻クリスティーンとその愛人ブラントに毒殺される.娘ラヴィニアはこれを知り,弟オリンをそそのかしてブラントを射殺する.悔恨に責められるオリンもまた自ら命を絶った.ラヴィニアを中心とした父母姉弟の錯雑した愛憎の心理を「オレステス物語」に構成を借りて描いた力作.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

松本直哉

26
トロイ戦争のギリシャの英雄の物語は、南北戦争のアメリカのブルジョワの家庭劇に移される。仲裁し救済する神々はもはや存在せず、代りに君臨する先祖の肖像画は、血縁による類似のせいでまるで鏡のように登場人物を照らし、何代にもわたる愛憎を凝縮する。トロイ戦争が男性性の讃美だったとすれば、ここに描かれる戦争は男性性をすり減らすもの。頭部に傷を負って幼児のようになるオリンはその一例にすぎない。対する女性たちの強靭さ、とりわけ結末で全ての憎悪と葛藤を一身に引き受けるラヴィニアが凄絶なまでの存在感が印象に残る。2018/06/10

Nemorální lid

5
古代ギリシアのオレステス物語を踏襲した当著の舞台は南北戦争後のアメリカであるが、神話の中ではオレステスは『無罪になる』(解 p.244)ものの、オニールのこの劇中では決して救われることは無かった。作者は『ギリシャ悲劇を念頭に置き、その特徴たる美と力の藝術的表現を目的としていた』(解 p.245)からこそ、人間関係の錯雑した愛憎が『近代的な衣を装って深刻に描かれている』(解 p.245)のだ。元の神話も神の呪いが悲劇を生み出したであり、当著も"屋敷"が登場人物を縛り付けては呪っている。とても禍々しく思える。2019/01/30

sk

2
ノーベル賞作家の古典的な愛憎劇。エキサイティングだった。2020/01/30

tekka

1
母親の不貞を発端に、家族間の憎悪がまるで蟲毒のように煮詰められ、やがてそれは頂点に達する。憎しみをぶつけ合い、狂気に陥っていく様を、これでもかと見せつけてくる凄まじい戯曲。元ネタであるギリシャ悲劇にも挑戦する予定。2023/04/22

のほほんなかえるさん

0
家に幽霊が憑りついている。いつかの話じゃない。今の話になっている。2012/04/25

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/396234
  • ご注意事項

最近チェックした商品