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岩波文庫
赤い武功章 - 他三編

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  • サイズ 文庫判/ページ数 363p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003231715
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

出版社内容情報

人間は極限状況に追いこまれた時,最も鮮かに本来の姿を現わす.クレインは南北戦争下の戦場に極限状況を設定し,平凡な一兵士の心理と行動を追った.志願して飛びこんだ戦場で,農村出身の若い兵士が体験したのは何か.自然主義作家の眼と新聞記者の才筆が,人間を描き,戦争を描く.ほかに「オープン・ボート」など三篇.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

126
国のために戦争に出ることが英雄だと信じる若者に、母のかける言葉。この冒頭だけで、感極まった。どうか母親のために無事でいてくれと祈りながら読んだ。戦場では 死と生はまさに隣り合わせだということを改めて思った。戦争に行く若者を描いた話では、『西部戦線異状なし』に続いて素晴らしいと思った。また最後の短編の『花嫁イェロースカイに来る』での話の結末には、横で震えていた花嫁をハグしたいような気持ちにさせてくれた。いい本を読んだな。2017/07/07

NAO

57
初めて戦争に参加した若者ヘンリの目から見た南北戦争。華々しい戦闘への憧れは、敵兵を見たとたんに激しい恐怖、不安へと変化し、逃亡ののち肝が据わってからの彼の動きは、最初に敵兵を見たとき「機械のようだ」と思ったのと同じく、没個性的な、戦争に飲み込まれてしまった状態になっている。戦争に勝って「戦争という赤い病をもはや退治してしまった。」とヘンリは感じているが、現代の戦争においても、勝ちさえすれば、生き残った兵士たちは、最後にヘンリのように思うだろうか。それは、少し疑問である。 2017/09/10

星落秋風五丈原

22
【ガーディアン必読1000冊】 著者スティーヴン・クレインは、南北戦争どころかどの戦争にも参加していない。そのためここに書かれた内容に経験は含まれていない。取材と想像力で主人公ヘンリーは作られた。内容は戦場メインではない。もし戦場・戦闘をメインに描けば擬音・擬態語だらけになってしまう。作者がこだわったのは、ヘンリーの内面の変化。名匠ジョン・ヒューストンにより映画化。主役オーディ・マーフィをはじめ、実戦経験者が演じている。そのため演技は素人っぽいが反応は自然である。つまり、小説と逆のことをしたわけだ。 2019/08/21

tera

10
南北戦争を新兵の若者の視点で描いた作品。戦争プロパガンダでも反戦でもなく、兵士の恐怖や戦争の無常感がリアルに描かれている。特に初めは恐怖のあまり逃げ出してしまった若者がいつしか戦争の波に飲み込まれていくさまは迫力のある描写だった。2016/10/21

まろ

4
戦争の捉え方があまりに現代の状況、現代の私たちの心情に似ていて驚く。もはやひどい戦争なんて起こらないだろう、と私たちは心の隅で期待しているけれど、その思いはあっさりと裏切られる。でも、書き方はやっぱりアメリカ文学の大袈裟さを含んでいて、とても魅力的な一冊だった。2014/02/12

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