岩波文庫
死の谷 〈下〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 230p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003231623
  • Cコード C0197

出版社内容情報

アメリカ文学に自然主義の作風を導きいれたノリス(1870‐1902)の代表傑作.マクティーグの妻は,富クジで当てた5000ドルを隠し持っている.彼は妻を殺してそれを奪い,鉱山地方へと逃亡する.追手に追われ奥地へ逃げのびてゆく彼の行手には荒涼たる砂漠・死の谷が待っていた.スリルとサスペンスに富み,人間の金銭欲を徹底的に描いた小説.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

127
この作家がこれを書いたのが学生の時で、その素晴らしさに書かせていた教授が本にする手引きをしたようであり、その早熟さにまず驚いた。ところが解説を読むと、この青年(書いた当時)は、立身出世した父親の強権の下、自分の意思より父の意思で道を決められ歩んでいたことろ、父の再婚により将来の目途が立たなくなったものの、それまでの教育という財産から、物語を生み出す力を蓄えていたようだ。彼は父の都合で、アメリカの都市から都市、欧州の都市と移り住み、財産の虚しさを知るうちに、作品を生み出す礎を自らに築いていたのだろう。2017/01/04

まふ

101
下巻の後半に至り状況はダイナミックに一変する。マクティーグはトリナの超緊縮家計のために小遣い銭もケチられる一方で無免許歯科医ということが露見して医業の禁止をやむなくされる。次の職の見つからないマクティーグはついにトリナを殺して金を奪い逃亡する。故郷の金鉱地帯で新しい鉱脈を見つけたりするものの、最後は「死の谷」にたどり着く…。⇒2025/04/10

NAO

47
マクティーグの幸運を妬んだ友人の告発で、マクティーグは市役所から営業停止命令を受ける。マクティーグがそれまで平穏な暮らしをしていられたのはたまたま運が良かったからだけで、トリナの宝くじ当選も運でしかない。だが、その運は常に良い方に当たるとは限らない。そして、ひとたび運命が良くない方へと転がり始めると、人はとめどなく悪い方へと落ちていく。本来なら歯科医師などにはなれるはずもなかった愚鈍なマクティーグが、ちょっと手先が器用だったというだけで歯科医師の真似事をできてしまったことに彼の悲劇はあったのだが、2016/05/07

Koichiro Minematsu

38
人は目の前に突きつけられたことが、己にとって成功か、失敗か。 それは分からん!2024/12/31

ひでお

5
上巻では主人公マクティーグが結婚し、人生の絶頂から下り坂を転げ落ちていく様が描かれていましたが、下巻ではさらに急展開、大きな事件を起こしたマクティーグの末路が描かれます。ゾラの影響を大きく受けたと思われる本作品ですが、アメリカの大地やゴールドラッシュに沸く鉱山の様子、野生的な直観に従って転落していく主人公が、若書きとは思えない描写力で真に迫っていました。もっと広く読まれてもいいのではないかと思える力作でした。2022/01/13

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