出版社内容情報
異文化の対立を扱い,一躍ジェイムズの文名を高めた「デイジー・ミラー」.その解釈をめぐって議論百出の感のある,謎に満ち満ちた幽霊譚「ねじの回転」.〈視点人物〉を導入した最もポピュラーな中篇2篇を収録.新訳.
内容説明
“アメリカ的なもの”と“ヨーロッパ的なもの”の対立を扱い、一躍ジェイムズの文名を高めた「デイジー・ミラー」。その解釈をめぐって議論百出の感のある、謎に満ち満ちた幽霊譚「ねじの回転」。“視点人物”を導入した最もポピュラーな中篇二篇を収録。新訳。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちゅんさん
50
デイジー・ミラー目当てで読んだがねじの回転もとてもよかった。ヘンリー・ジェイムズは初めて読んだが文章が端正で読みやすい、読みやすいけどよく分からない、そこがいい。長い付き合いになる予感。デイジー・ミラーただ自由奔放なだけなのか、彼女なりにいろいろ考えていたのではないか。ねじの回転は読み手によって解釈が違うだろうな。雰囲気が異なる2作だかどちらも気に入った。 2023/02/21
里愛乍
49
一読すれば、ひとつは美しい無垢で奔放なお嬢さんに翻弄される青年のお話、ふたつめは女家庭教師が巻き込まれる幽霊譚。格式高げな会話やストーリーの流れなどそれだけでも楽しめるけど巻末の解説が、さらにこれらの作品にぐるぐると捻りを加えてくれます。とくに『ねじの回転』の解釈は考察された分の如何様にも取れるし、またそれを読むのも面白い。読者は明確なひとつの結末を与えられるだけでなく、考えさせられ、それを楽しむ。長く支持されるのも道理かと思われます。2015/10/13
Gotoran
46
「ねじの回転」:イギリス郊外に閑静に佇む貴族屋敷に両親を亡くした眉目秀麗な兄妹。二人の伯父に雇われた物語の語り手の「私」は、兄妹を悪の世界に引きずり込もうとする幽霊を目撃、勇気を絞ってその正体を探ろうとするが…精緻な心理描写と暗示に満ちた文体での人の恐怖が垣間見られた。「デイジー・ミラー」:アメリカから最近ヨーロッパにやってきた全てに開放的な若くて美しいデイジーとヨーロッパに長く住むアメリカ人の青年ウインターボーンとの淡い恋を軸に、ウンターボーン視線でのデイジーの魅力が繰り返し語られている。2022/11/12
羽
19
19世紀末から20世紀にかけて活躍した作家ヘンリー・ジェイムズ。35歳の時の作品『デイジー・ミラー』と、その20年後に発表された『ねじの回転』は、最もポピュラーな作品。後者のあらすじ→ある立派なお邸に、両親を事故で亡くした兄妹がいた。離れて暮らす後見人の叔父が、ある女性を家庭教師として雇う。その際、たった一つの条件があった。それは、何があっても叔父に連絡しない、というもの。働き始めてから、女性はあることに気づく。私が来る前、ここで何かが起きた。そして、みんながそれを私に隠している...。背筋が寒くなった。2022/02/09
きゃれら
18
プルーストの合間に軽く読める本を、というスケベ心が仇。なんだこの読みにくい作品は。ヘンリー・ジェイムズは、「鳩の翼」しか読んでなくて、あれよりは分かりやすいだろうという期待も裏切られた。いや、ちっとも分かりにくくはないのだけど、「面白さ」に到達するのが簡単じゃない。書かれている言葉をストレートに受け取っただけでは足りないのだろう。二つの作品の結末は、どちらも、読み手にとって衝撃的すぎる。ジワジワ来る読後感。「新訳」とあるけど、1989年版の改訳。デイジーが「…ですわ」としゃべるのは古臭く感じました。2022/03/09