出版社内容情報
「あなたも学校の先生におなりで.猥褻行為で退学の学生さんは大半がそうですから」.学友の乱痴気パーティに巻きこまれ,あげくに放校処分をくらってしまったポール・ペニフェザー君.わけ知り顔の門番の言葉におくられ,教職斡旋所の門をくぐるが…….かくして我らが主人公の多事多難な人生航路が始まる.抱腹絶倒の滑稽小説.
内容説明
「あなたも学校の先生におなりで。素行不良で退学の学生さんは大半がそうですから」。学友の乱痴気パーティに巻きこまれ、あげくに放校処分をくらってしまったポール・ペニーフェザー君。わけ知り顔の門番の言葉におくられ、教職斡旋所の門をくぐるが…。かくして我らが主人公の多事多難な人生航路が始まる。絶妙のユーモア小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
312
これも、やはり一種のピカレスク小説なのだろう。ただし、主人公のポール・ペニーフェザーは悪漢どころか、牧師志願の小心で善良な人物である。そんな彼が本人の意思や素行とは関係のないところで騒ぎに巻き込まれ、オックスフォードを放校になってしまう。彼は地方のパブリック・スクールの教師の道を選ぶのだが…。大悪は出てこないが、つまりは周囲の小悪群に翻弄され続けるのであり、まさにピカレスクは周囲の社会にこそ元兇があったということだ。イギリス風のユーモアなのだろうが、痛快とはいかず、むしろ苦々しい味わいをこそ楽しむものか。2016/05/04
遥かなる想い
193
英国風ユーモア文学らしいが、正直よく わからなかった。 主人公のポール青年が物足りない。 理不尽な運命に 抵抗することなく、ただ 受け入れる。「素行不良で大学を退学」から 始まる ポールの転落も 理由がよくわからず、 ポールも 抵抗することがない.. あちこちで 垣間見られる 悪ふざけだけが、印象的な作品だった。 2017/07/24
のっち♬
122
放校処分を食らったポールはラナバ城で教職につくが、突拍子もない事件に次々と巻き込まれる。25歳の著者ならではの若さと才気に溢れた端正な文体で、程よく苦味の効いたユーモアが全編を覆っている。ホラだらけの自叙伝、茶番と化す運動会、同僚の雲隠れなど生命力のある登場人物によるドタバタ劇が小気味良く進行するが、中でもジレーヌス教授の人を食ったような人生訓が痛快。そこから始まる理不尽な大転落を従順に受け入れてしまうポールのあっけらかんとした態度や、風刺内容のありきたりな健全さなどには著者の保守的な気質が垣間見れる。2021/03/24
ケイ
122
悪い冗談かと思うようなことが次々に起こる。そのどれも激しく落ち込み、地団駄を踏み、死をも考えるようなレベルの出来事だ。しかも主人公のポール・ペニフェザーは極めて真面目な青年なのにだ。まず、オックスフォードを退学になる理由が素行不良だなんて、全く…。途中で気付いたのは、ポールは真面目なのではなく、与えられた環境を素直に受け入れ、その環境でそれなりにやることに長けているのだということ。それ故に、この無茶苦茶な展開も可能になる。それにしても、家柄がよくお金のあるものだちのあっけらかんとした不道徳さよ!2016/03/15
星落秋風五丈原
48
【ガーディアン必読1000冊】原題「Decline and Fall」の通り、少し気の弱い所もあるが基本的には善人な庶民ポールの浮き沈みを描く。係累も財産もない彼は理不尽な目に遭う。明らかに自分ではない罪まで着せられているのだから反論なり抵抗なりすればいいのに、ヘンリー6世の「運命の課する所人はそれを忍受せざるを得ない What fates impose, that men must needs abide」を地で行くかのように運命に流される。要領よく世を渡るのはそれなりの身分を持った貴族や裕福な人達だ。2020/08/23
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