出版社内容情報
動物を人間に改造しようとするモロー博士の悲劇を描いた表題作をはじめ,怪奇・奇想の傑作一○篇を収録.肥満を解消したい大食漢の物語「バイクラフトの真実」,未来の新聞が読めるようになった「ブロンローの新聞」,薬品による精神と肉体の交換を描く「故エルヴィシャム氏の物語」など,怖くて面白いお話を満載.うち本邦初訳二篇.
内容説明
動物を人間に改造しようとするモロー博士の悲劇を描いた表題作をはじめ、未来の新聞が読めるようになった「ブロンローの新聞」、薬品による精神と肉体の交換を描く「故エルヴィシャム氏の物語」など、H・G・ウエルズのSF・怪奇短篇集。うち本邦初訳2篇。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
にゃおんある
36
見果てぬ夢ほどの夢があった時代、ひょっこりひょうたん島やプリンプリン物語で、まだ知られざる島があって、好奇心を叶えてくれる、ありえない不思議な世界でできているお伽噺。そういう翼を広げられて、いくつもの冒険をしたい。けれども、それが作り話ではなく現実に起こっていたらどうだろう。類似する凶気な事件が、この物語のあとにも、先にもあったし、これからだって起こりうるだろう。悪夢をおいかけるエネルギーとラットを使った研究と、余得はさして変わらない、その過程も同じ高さの動機に過ぎない、憐れな道具とは、それは……2019/10/02
星落秋風五丈原
30
【ガーディアン必読1000冊】「故エルヴィシャム氏の物語」「お前は既に死んでいる!」とは言われなかったがもうすぐ死ぬと言われたイーヴンが、高名なエルヴィシャム氏から人格を入れ替えることを提案される。しかしうまい話には必ず裏があり。「蛾」昆虫学者ハブレーとポーキンズは、正反対の性格故に常に争っていた。弁の立つハブレーの方に人が集まり、ポーキンズの怒りと嫉妬は留まることを知らない。そしてその怒りを抱えたままポーキンズはあっけなく病死。するとハブレーに奇妙な現象が起こり。SFというよりホラー。2024/02/18
ビイーン
30
「モロー博士の島」はダーウィンの「種の起源」に強く影響を受けた古典SFの傑作である。科学の力によって神と同等の力を持った人間モロー博士が動物から人間を作り出す。神によって人間は作られたと信じるキリスト教徒にとってはありえない話か。島で唯一生き残った人間となり動物人間と暮らすことなってしまう主人公の心理的な変化が興味深い。やっぱりH.G.ウエルズ作品は面白い。2020/04/15
ちょん
27
師走にきて衝撃的な本に出会ってしまったァァァ!何これ面白すぎる。だいぶ前に購入してから放ったらかしにしててごめんなさい。洋書苦手な私ですが短編たちが程よい長さで読みやすく作者の世界観に慣れた頃に「アリの帝国」「モロー博士の島」がやってきてガクブル。H×Hの蟻編と暗黒大陸が大好きな私としてはよだれダラダラ流しながら読んでました。楽しい、他の話も読んでみたいと思います✨2022/12/10
藤月はな(灯れ松明の火)
25
表題作はどの動物よりも知恵が働くが故にある意味、醜悪な人間と人間の作った掟を頑なに守りながらも獣性を宿したままの動物人間の対比が印象的でした。「故エルヴィシャム氏の物語」では若者の死はどうして起こったのかと考えると色々な考えが出てきてその一つにぞっとしました。「アリの帝国」など自然の脅威とそれをねじ伏せると思い込んでいた人間の弱さを描いた作品もあれば「紫色の茸」、「マハラジャの財宝」のようにユーモラスで笑える話もある素敵な石が入った箱のような短篇集でした。2011/12/01
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