岩波文庫
ダブリンの市民

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 454,/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003225516
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

出版社内容情報

アイルランド,そしてダブリンに生涯こだわり続けたジョイス(1882―1941)が,「細心卑小な文体」で陰鬱かつ閉鎖的なダブリンの市民階層の麻痺的な生態を描いた15篇.ジョイス文学の展開の端緒をなす初期短編集.

内容説明

アイルランド、そしてダブリンに生涯こだわり続けたジョイス(一八八二‐一九四一)。「細心卑小な文体」を用いて、閉塞的なダブリンの市民階層の麻痺的な生態を描いた十五篇。『ユリシーズ』等につながる、ジョイス文学の展開の端緒をなす初期短篇集。

著者等紹介

ジョイス[ジョイス]
1882年2月2日生まれ。1898年ベルヴェディア・コレッジを卒業し、イエズス会経営の大学、ユニヴァーシティ・コレッジ・ダブリンに入学(近代語専攻)。1902年ユニヴァーシティ・コレッジ・ダブリンを卒業。1922年2月2日『ユリシーズ』を出版。1941年1月13日、チューリッヒで死亡
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

チェ・ブンブン

21
おそらく、これも人々の刹那なひとときに歴史ドラマをねじ込んだものであろう。なかなかジョイスの暗号が理解できず苦しんだが、「死者たち」は理解できた(*^_^*)食事や噂話、豪勢な宴会を激動の時代と置く。「混乱と、笑いと、騒音であふれ返っていた」のだ。そして後半では歴史をひもとき、日本人の如く自虐と切なさで死者を哀れむ人を描いている。激動を振り返って現代の虚無に悶々している様子が描かれているとも考えられる。ジョイスは奥深いなり。2013/09/13

やいっち

13
何とも言い難い味わいだった。暗く鬱屈したダブリンの市民たちの、暗鬱な生活が描かれ、読む自分の気分までが暗くなる。  特に、女性の立場が誰かの言葉ではないが、出口なしで、息苦しいほどである。  車中では、ウルフの『自分だけの部屋』を読んでいるのだが、こちらも、時代の世相を映し出していて、女性の置かれた厳しい状況をこれでもかと感じさせる。  こうした状況というのは、絵画作品やまして音楽作品を鑑賞していても、なかなか窺えない世界なのではないか。小説だからこそ、描けた世界なのだろうと思う。2016/04/18

有沢翔治@文芸同人誌配布中

8
15の連作短篇集だが、それぞれの話は独立していない。あちこちに別の話の主人公が顔を出すのである。派手さこそないが、心理描写が濃密で、ダブリンを生きる人──ダブリナーズ──の人間関係を浮き彫りにしている。僕の創作小説のヒントになりそうな一作。2014/11/23

壱萬参仟縁

8
階級社会のダブリンは、上流、中流、労働者のなかで、さらに中流が上、中、下と分れたようだ(解説448ページ)。著者は中の下を描いたという。「痛ましい事故」は43歳女性が機関車事故に遭遇(202ページ)の一節にある、「一人の人間が自分を愛してくれているようだったのに、その人の人生と幸福を否定してしまった」(207-8ページ)とは、愛と憎しみも紙一重で、人間の恋愛感情の予想できない対応、非論理的な部分はやりきれない部分と思える。評者の同級生も14年前に交通事故で痛ましい事故で亡くなったが、彼の分まで生きれたか?2013/01/13

アルゴス

7
ジョイスの初期の短編集。ダブリンの人々の鬱屈した生活と感情が、巧みに描きだされる。新聞に連載される小説のような手軽さで書かれているので読みやすいが、集中が途切れことがあるのもたしかだ。2018/02/20

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/454735
  • ご注意事項

最近チェックした商品