出版社内容情報
別名「老妻物語」としても知られる,イギリスの自然主義作家ベネット(1867‐1931)の代表作である.作者は自分の生まれ故郷「五つの町」を舞台に,この町で仕立屋を営むベインズ夫人とその2人の娘コンスタンスとソファイアの2代にわたる女の生涯と栄枯とを,正確な写実と伝統的なユーモアの円熟した筆致で描き出した.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まふ
111
中巻では、コンスタンスとボヴィの夫婦とその息子シリルの生活および出奔したソフィーのその後が描かれる。ベインズ夫人が亡くなり、コンスタンスは堅実に仕事をこなすボヴィに従って生活するもののその息子シリルには手を焼く。一方ソフィーは駆け落ちしてパリに行くも、ジェラルド・スケールズの本性に気づき、さほどの未練もなく別れて独り立ちする。親切なジャーナリストシラックに出逢いチフスに罹るが乗り越える…と、すべてのマグマを下巻に残した形で中巻は終わる。2024/11/29
扉のこちら側
68
2016年247冊め。【159-2/G1000】家に残った姉は結婚してこの時代における典型的な母親になり、駆け落ちした妹は男と別れて商売の道を進み始める。どうしようもなく息子を甘やかす母親と、戦争という時代の荒波にもまれながら一人生きる女性は対照的だけれど、この二人が再会したらどうなるのか。 2016/04/10
NAO
55
家を出るためにまず教師になることを考え、自分を連れ出してくれそうな男を見るとあっという間に教師になる夢を捨てて男に飛びついたソフィアが、あまりにも簡単に男を見限るのには驚かされる。ほとんど町から出ることもなく結婚して店を継いだ姉コンスタンスと、夫と別れたあと下宿屋を始めた妹。家の中にただ閉じこもった二人の暮らしぶりは、住む場所こそ違うけれど、結局そう変わりはしないようにも思われるのだが。2017/02/27
秋良
6
地元で結婚した姉と駆け落ちの末に捨てられる妹。前巻よりも話に動きがあって面白い。モーパッサン版の話を考えると、息子はロンドンでデキちゃうんだけどどうなるんだろう。2018/09/23
Э0!P!
5
この小説の中で最も大事なタームである。前書きに明かしているように、老女の中にあるはずの少女から連続してきた歴史(それは外面からは察知できない)を掘り起こすのがこの小説が執筆された目的だからである。同じ家に育った二人の少女は各々の気質が誘う異なる運命へと旅立っていく。地元に残った姉コンスタンスと駆け落ちしたソファイア。コンスタンスの将来がなんとなく予想できるような形になったところで後半からソファイアのその後が描かれる。2024/11/01