出版社内容情報
全身を金箔で覆われた王子の彫像が国民の悲惨な生活を知り、サファイアの目や体じゅうの金箔をツバメにたのんで貧しい人々に分けあたえる「幸福な王子」、人魚に恋した若い漁師が財宝に目もくれず、ひたむきに恋のために自分の魂をなげうつ「漁師とその魂」など、無垢なるものや純愛への限りない賛嘆にみちたワイルドの全童話。新訳。
内容説明
全身を金箔で覆われた王子の彫像が民衆の悲惨な生活を知り、サファイアの目や体じゅうの金箔をつばめにたのんで貧しい人々に分けあたえる「幸福な王子」、人魚に恋した若い漁師が財宝に目もくれず、ひたむきに恋のために自分の魂をなげうつ「漁師とその魂」など、無垢なるものや純愛への限りない賛嘆にみちたオスカー・ワイルド(1854‐1900)の全童話。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
絵本専門士 おはなし会 芽ぶっく
13
『小さな本の大きな世界』 https://bookmeter.com/books/10779963 で紹介されていた本。幸福の王子、しあわせの王子などタイトルが違って出版されている本もありますが、こちらはちょっと大人向けかな?と感じました。短編集。『 幸福な王子 / ナイチンゲールと薔薇 / わがままな巨人 / 忠実な友人 / すばらしい打ち上げ花火 / ざくろの家 / 若い王 / スペイン王女の誕生日 / 漁師とその魂 / 星の子 』2021/01/01
こつ
8
幸福な王子は絵本もいいですが、文章だけでも素敵でした。何時読んでも泣けます。その他の童話も面白かったです。見た目の美醜や貧富の差のテーマが多かったです。2022/12/30
椎名
5
初オスカー。漁師とその魂が良かった。相手に魂があるかないか、自分を想ってくれるかどうか、どう在るか一切の関係なく、自分の愛をただ注ぐという行為。2022/06/11
bookshelf_yt07
5
『サロメ』の作者、オスカー・ワイルドが書いた童話集。表題の『幸福な王子』は小さい頃、絵本で読み、悲しかった記憶があるが、今読むと、王子の犠牲的な愛、純粋な献身に目が行く。ギリシャ神話や欧州各地の伝説をベースにしているため、文化背景が分かっていないと読みづらいかも。2020/10/07
安土留之
3
『幸福な王子』、何度読んでも感動する。わが身を犠牲にし、他者のために献身的にふるまう人間が、最後には心の平安を獲得し、救済される物語。他の作品も、利己心によって破滅する花火の物語、人魚への愛をつらぬく漁師の物語など、テーマの奏で方は異なるものの、基本的にはおなじテーマ。ただ、単純な物語でなく、最後にアイロニカルな結末になるものもある。 オスカー・ワイルドというと、デカダンス、ホモセクシュアルなどと中傷されてきたけど、ワイルドの無垢さが発露している童話集。いつまでも読まれていく物語と思う。2025/01/15