出版社内容情報
これはかたくなな老人に対する青春の抗議だ.しかし実は若い人たちに残した心からの贈物なのだ.彼は恋愛を語り結婚を論ずる,青春を讃えまた死を考える.たくましく若々しい精神が病気のため人生の傍観者たるを余儀なくされながら,しかもこの不幸を真直ぐに生きぬいてゆく人間記録である.
内容説明
不治の肺患になりながらも、若く瑞々しい感性を失わなかった『宝島』の作者が、恋愛・結婚・青春などについて論じたエッセイ集。
目次
若い人々のために
頑なな老年と青春
怠け者のために
南欧に転地を命ぜられて
三重の鎧
黄金郷
英国の提督
レイバーンの肖像画
子供の遊戯
徒歩の旅
牧神の笛
瓦斯燈の弁
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kasim
4
19世紀末のエッセイを、昭和12年の翻訳で。旧仮名が読みにくいけど、ゆったりとして心が落ち着く。「瓦斯燈の辯」の美しさ。ロウソクから油、ガス燈と来て電気の時代を迎えるに当たり、筆者の目はガス燈の明かりへの愛情と哀惜に満ちる。ビジネス街は電気でOK,でも「和やかな喜びが支配する處では、(…)愛と笑ひと人の心を神のごとくに高める葡萄酒が豊富に在る處では(…)昔ながらの柔らかい瓦斯の光に人間の道を照させるがよい」。『陰翳礼讃』を少し思い出す。見たいなあガス燈。2016/05/15
な
1
比喩の感覚がとても優れていて、その量と感性の鋭さ、的確さが詩人の仕事のように思えた。引用もとても多く、作者の教養と、交流している人々の文化的な豊かさが感じられた。思索の深さに驚かされる。僕も考えていたいと思う。2024/04/13
ひでお
1
「宝島」で知られるスティーブンスンのエッセイです。若い人々のためにというタイトルですが、これを書いたのは著者が31歳のときで、今の時代ではずいぶん若いなあと。この本は名言の宝庫です。恋や結婚や、生き方について、現代もかわらず、その言葉は、心に響きます。2016/04/01
山中タカ
0
訳が悪いのか入ってきやすいはずのスティーブンソンの文章が全然頭に入ってこなかった。内容は素敵。2014/07/12